演題

食道癌術後の再建胃管運動機能に寄与する因子の検討

[演者] 大矢 周一郎:1
[著者] 山下 裕玄:1, 川崎 浩一郎:1, 田邊 麻美:1, 三ツ井 崇司:1, 八木 浩一:1, 愛甲 丞:1, 西田 正人:1, 野村 幸世:1, 瀬戸 泰之:1
1:東京大学大学院 消化管外科学

【目的】食道および胃の蠕動運動は主に迷走神経による支配を受けるが,食道癌に対する標準術式である食道亜全摘胃管挙上再建術では両側迷走神経本幹が切離されるにもかかわらず,術後の上部消化管内視鏡検査においてはとくに前庭部における胃管蠕動が少なからず認められる.しかしその程度は症例により差があり,術後の運動機能に寄与する因子についての報告は少ない.食道癌術後の術後経過観察内視鏡における蠕動強度および食物残渣量の評価を試みることで術後胃管運動機能の評価を行い,患者因子および手術因子との関連について検討を行った.
【方法】2016年10月から12月までに当科で食道癌術後経過観察目的に上部消化管内視鏡検査を施行した患者を対象とした.胃管前庭部運動強度は蠕動抑制薬を投与しない状態で内視鏡挿入後,無送気で10秒間観察する間に,丹羽分類を参考として"全く蠕動がない"状態を1点,"軽度の蠕動を認めるが幽門まで蠕動波が到達しない"状態を2点,"幽門まで到達する強い蠕動波を認める"状態を3点と定義し3段階で評価した.食物残渣量については"全く残渣がない"状態を0点,"幽門が視認できる程度の少量の残渣を認める"状態を1点,"幽門を視認できない程度の中等量の残渣があるが検査完遂が可能"な状態を2点,"残渣が多量で内視鏡検査続行が不可能"な状態を3点と独自に定義して4段階で評価した.いずれの症例も性別・検査時年齢・手術後経過年数・手術術式を診療記録から抽出し,胃管の運動機能との関連を評価した.
【結果】対象は男性25名・女性5名の計30名,平均年齢は68歳であった.蠕動促進薬常用者はいなかった.年齢・郭清領域数・再建法と蠕動強度および食物残渣量の関連は明らかでなかったが,術後経過年数別にA)術後2年目以内の患者群(n=11),B)術後2年目を超えて4年目以内の患者群(n=7),C)術後4年を超える患者群(n=12)の3群に分割すると,蠕動強度の平均点はA群1.91点, B群2.29点, C群2.91点であり術後時間経過とともに増大する傾向があった.食物残渣量の平均点はA群0.81点, B群1.28点, C群0.08点となりC群で他の2群に比較して低値であった.なお蠕動強度点数と食物残渣量点数の間には負の相関が認められた.
【考察】胃管前庭部運動機能は術後年数経過に伴い回復する可能性がある.
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