演題

ハイリスク局所進行直腸癌に対する術前mFOLFOX6 + BEVとS-1化学放射線療法の逐次投与に関する第II相試験

[演者] 小西 毅:1
[著者] 篠崎 英司:2, 上野 雅資:1, 福長 洋介:1, 長山 聡:1, 藤本 佳也:1, 秋吉 高志:1, 長嵜 寿矢:1, 佐野 武:1, 山口 俊晴:1
1:がん研究会有明病院 消化器外科, 2:がん研究会有明病院

【背景と目的】
下部直腸癌に対する術前化学放射線療法(CRT)は,局所再発を抑制するが,遠隔転移や生存予後は改善しない.本研究は,既存の集学的治療では遠隔転移,局所再発とも高率なハイリスク局所進行下部直腸癌を対象とし,より強力な治療戦略として,遠隔転移制御を目的とした全身化学療法と局所再発制御を目的としたCRTを術前逐次投与し,臨床第II層試験としてその有効性と安全性を評価することを目的とする.(UMIN-ID: 000011457)
【対象】
R0切除可能なcStage II-III下部直腸腺癌で,MRIにより次のいずれかの基準を満たす症例.①垂直方向4個以上または側方領域1個以上のリンパ節転移(N2-3,大腸癌取扱規約第7版)②252-253リンパ節転移(N2-3,大腸癌取扱規約第6版)③Circumferential Resection Marginが 1mm以内④深達度A以深で肛門管に位置し肛門温存の適応がない⑤他臓器に浸潤(深達度AI,大腸癌取扱規約第7版)⑥直腸間膜脂肪に5mm以上浸潤
【方法】
mFOLFOX6 +BEV 6コース施行後,S-1併用CRT 50.4Gyを投与し,6-10週後に根治手術を施行した.primary endpointは pCR率(ypT0N0)とした.集積症例数は43例(α=0.05, 90% power)に設定した.
【成績】
対象はcT4 12例(28%),cN+40例(93%),うち側方転移疑い30例(70%)であった.術前化学療法,CRTとも42例(98%)で完遂し,CTCAE grade 3有害事象は化学療法9例(21%),CRT5例(12%)であった.cCRにて経過観察を希望した1例を除く42例でR0手術が施行された.術式は全例鏡視下に行われ,周囲臓器合併切除は治療前に浸潤を疑った14例全例,側方郭清は治療前に転移を疑った30例全例で施行した.Clavien-Dindo分類grade 3の術後合併症は6例(grade IVa 術後譫妄1; grade IIIb 縫合不全1, 出血1; grade IIIa 骨盤感染2, 尿道瘻1)であった.死亡はなかった.pCR率は37%(16/43, 95%CI 24.4%-52.1%, ITT解析)で,primary endpointをmetした.T downstageを29例,N downstageを32例で認め,ypN+(直腸間膜)は7例,ypN+(側方)は4例であった.全例CRM陰性であった.
【結論】
ハイリスク局所進行直腸癌に対する術前 mFOLFOX6 + BEVとS-1 CRTの逐次投与は高いpCR率を達成した.また,治療中の有害事象および術後合併症の発生率も許容範囲であり,安全性が確認された.本治療法はハイリスク局所進行直腸癌に対する新たな治療レジメンとして有用である.
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