演題

食道癌に対する食道切除・胃管再建術後の逆流性食道炎とリスク因子

[演者] 西田 良介:1
[著者] 田中 寿明:1, 森 直樹:1, 的野 吾:1, 日野 東洋:1, 門屋 一貴:1, 最所 公平:1, 赤木 由人:1
1:久留米大学病院

【背景】食道癌に対する手術手技や周術期の管理の進歩により予後が改善し,長期生存例が増加している.食道切除・胃管再建術後の逆流性食道炎(Reflux Esophagitis:RE)はQOL(Quality of life)の低下をきたし,時に重篤な合併症を引き起こす.長期的な術後REの成因は未だ明確でない.我々は食道癌術後の長期的なREのリスク因子について検討した.【対象と方法】2005年から2014年に,久留米大学病院で食道切除・胃管再建術を施行した食道癌症例のうち,術後2年目に上部消化管内視鏡検査,24時間pHモニタリング・24時間ビリルビンモニタリングを施行した94例を対象にした.REのリスク因子は,年齢,性別,再建経路(後縦隔/胸骨後vs胸壁前),REの有無,酸・アルカリ逆流の有無および酸・アルカリ度の高低,H.pylori感染の有無を評価項目とした.酸逆流は24時間pHモニタリングで%time pH<4が4%以上を酸逆流あり,アルカリ逆流は24時間ビリルビンモニタリングで%time abs.>0.14が4%以上をアルカリ逆流ありとした.酸度は%time pH<4が0.8%以上を高酸とし,アルカリ度は%time abs.>0.14が2.7%以上を高アルカリと定義した.【結果】男性79例(84%),女性15例(16%)で,年齢中央値は68(39-87)歳だった.再建経路は後縦隔が38例(40%),胸骨後が10例(11%),胸壁前が46例(49%)だった.REは31例(33%)に発症し,酸逆流は33例(35%),アルカリ逆流40例(43%)に認めた.高酸は50例(54%),高アルカリは48例(52%)に認めた.H.pylori感染者は42例(45%)だった.REのリスク因子を多変量解析で検討すると,再建経路(Odds比:5.13,95% CI:1.86-15.5,p=0.001),H.pylori感染(Odds比:2.86,95% CI:1.00-8.77,p=0.04),アルカリ度(Odds比:3.32,95% CI:1.18-10.0,p=0.02)がリスク因子だった.【結語】食道切除・胃管再建術後のREは胸骨後・後縦隔経路が多く, H.pylori非感染症例に多かった.また,アルカリ逆流の程度が強いほどREの発生に関与していた.
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