演題

胸骨後経路再建胃管の胸腔内脱出の長期的臨床経過

[演者] 植村 則久:1
[著者] 川上 次郎:1, 安部 哲也:1, 細井 敬泰:1, 伊藤 誠二:1, 小森 康司:1, 千田 嘉毅:1, 三澤 一成:1, 伊藤 友一:1, 清水 泰博:1
1:愛知県がんセンター中央病院 消化器外科

【背景】食道切除後の胸骨後経路胃管再建術において,胸骨後スペース剥離の際に胸膜を損傷すると,胸腔内陰圧により再建胃管が胸腔内へ引き込まれ脱出することがある.以前,我々はその短期成績について報告した.しかしながら,その長期的臨床経過については十分に検討されていない.

【目的】胸骨後経路再建胃管が胸腔内脱出した場合の長期的臨床経過について検討した.

【方法】2011年1月から2015年9月までの食道切除,胸骨後経路胃管再建術症例248名のうち,胃管の胸腔内脱出(胸部単純レントゲン正面像で胃管脱出側椎体縁から横径5cm以上の胸腔内脱出)を認めた21名を検討対象とし,長期的なサイズの変化,栄養状態などの臨床経過について検討した.

【結果】胸骨後経路再建胃管の胸腔内脱出横径中央値は7 (5-9) cm.17名が右胸腔へ他4名が左胸腔へ脱出していた.術後在院日数中央値23 (11-99) 日で全員生存退院.術後半年目のCTでの胸腔内脱出横径中央値は3.5 (2-7.5) cmであり,縮小率は中央値56 (33-94) %であった.5cm以内に14名が収まっていたが,他7名は術後半年経過しても胸腔内胃管拡張を認めた.さらに半年後,術後1年目のCT(N=16)では縮小率中央値100 (57-128) %と半年以降の縮小はわずかであった.1年後のCTで横径が5cm以上であった症例は3名で,いずれも,術直後の横径8cm以上と初期に大きく拡張を認めた症例であった.
術後経口摂取開始前の胃管造影検査は12名で施行されており,全症例において通過障害は認められなかった.胃管が脱出したことが原因と思われる経口摂取困難症例は認めず,術後栄養状態の指標として術後3ヶ月目の体重変化を測定すると中央値12.2 (1.4-25) %減少と,同時期の全症例の中央値12.5%減少と同等であった.半年後でも5cm以上の胃管拡張の遷延を認めた症例7名に限定しても,体重減少率は中央値12.2 (1.4-21.3) %減少であり,有意な減少傾向を認めなかった.

【結語】胸骨後経路再建胃管が胸腔内脱出に脱出した場合,術後6ヶ月で横径は56%まで縮小するが,その後はそれほど縮小しない.初期に胸腔内へ大きく拡張した症例では胸腔内胃管拡張が遷延する症例が存在するが,そのような症例においても,通過障害や,栄養状態への影響は認められない.
詳細検索