演題

食道裂孔ヘルニア併存・胃軸捻転症に対する腹腔鏡手術

[演者] 山本 達人:1
[著者] 山本 久斗:1, 得能 和久:1, 亀井 滝士:1, 北村 義則:1, 安藤 静一郎:1
1:都志見病院 外科

【はじめに】胃軸捻転症はまれな疾患であるが,高齢化による食道裂孔ヘルニアの増加に伴い腹腔鏡手術例が散見されるようになった.これまで10例の食道裂孔ヘルニアに対して腹腔鏡手術を行ってきたが,うち3例に巨大食道裂孔ヘルニア併存・胃軸捻転症を経験したので報告する.【症例1】84歳女性,嘔吐・倦怠感にて精査の結果,III型食道裂孔ヘルニア併存・胃軸捻転症(間膜軸性)と診断.腹腔鏡補助下に食道裂孔縫縮+噴門形成(Nissen法)+胃瘻造設術(胃前方固定:胃体下部前壁)を施行した.術後胸水貯留を認めたが軽快.【症例2】91歳女性,食道裂孔縫縮+噴門形成(Nissen法)術後再発でII型食道裂孔ヘルニア併存・胃軸捻転症(間膜軸性)upside down stomachと診断.腹腔鏡下に胃を腹腔内に整復,食道裂孔の再縫合は困難なため上部消化管内視鏡併用下に胃壁固定具を使用し胃前方固定術(胃角部前壁,前庭部前壁)を施行した.術後合併症なし.【症例3】72歳女性,嘔吐,心窩部痛にて精査の結果III型食道裂孔ヘルニア併存・胃軸捻転症(間膜軸性)と診断した.腹腔鏡下食道裂孔縫縮+噴門形成(Nissen法)+胃前方固定術(胃体中部・下部前壁大湾側)を施行した.術後合併症なし.【結果】3例とも術後経過観察期間内の経口摂取は良好で逆流症状やつかえ感もなく胃軸捻転症の再発は認めなかった.1例に胃内容物の停滞を認めた.【考察】食道裂孔ヘルニアに対する基本術式は腹腔鏡下食道裂孔縫縮+噴門形成(Nissen法)としてきたが,胃軸捻転症合併例には胃前方固定術を追加している.腹腔鏡下胃前方固定術は低侵襲で高齢者に適応可能であり食道裂孔へルニア併存・胃軸捻転症の再発予防の有用なオプションである可能性が示唆された.
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