演題

高齢者巨大食道裂孔ヘルニア症例に対する治療成績の検討

[演者] 猪瀬 悟史:1
[著者] 諏訪 達志:1, 苅込 和裕:1, 十束 英志:1, 小山 基:1, 岡田 慶吾:1, 北村 謙太:1, 松村 知憲:1, 正村 滋:1
1:柏厚生総合病院 外科・消化器科

【目的】
巨大食道裂孔ヘルニアは高齢者に多い病態であり,放置した状態では通過障害や呼吸器症状,心臓への圧迫症状など,致死的な合併症を引き起こす可能性もあるため,全身状態を十分に評価したうえで積極的に手術を考慮すべきである.今回,高齢者巨大食道裂孔ヘルニア症例に対する当院での治療成績について検討した.
【対象】
術前の腹部CTまたは透視で胃の1/3以上が縦隔内に脱出した巨大食道裂孔ヘルニアに対し,2009年4月から2015年12月に当院で手術を施行し,術後1年以上経過観察しえた75歳以上の高齢者12例を対象とした.
【手術手技の工夫】
1)腹腔鏡手術においては,良好な視野を得るために食道裂孔右側の操作を行う際にはscopeを臍部のポートから挿入し,食道裂孔左側の操作を行う際にはscopeを左上腹部のポートから挿入して行う.
2)合併症のリスク軽減のため,縦隔内のヘルニア嚢の切除はあえて行わず,腹腔側のヘルニア嚢との全周離断のみ行う.
3)高齢者の場合は術後の通過障害を考慮し,必要に応じた噴門形成を行う.
4)メッシュを使用する際には,メッシュが収縮する可能性があるため,食道に直接当たらないよう留意する.
【結果】
男性1例,女性11例.年齢中央値79.5歳.腹腔鏡手術11例,開腹手術1例.手術時間中央値138分,出血量中央値15mlで,重篤な術後合併症は認めなかった.メッシュを使用した症例は9例であった.明らかな再発例はなく,全例において症状や食事摂取状況の改善を認めた.
【考察】
巨大食道裂孔ヘルニア症例は高齢者の割合が多く,過度の手術侵襲は避けるべきである.当院における巨大食道裂孔ヘルニアに対する手術症例数や術後経過観察期間は十分ではないが,腹腔側と縦隔側とのヘルニア嚢の全周離断を行い,縦隔側ヘルニア嚢切除を省略することで,手術侵襲や合併症リスクの軽減が得られる可能性が示唆された.
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