演題

食道アカラシアの治療成績の検討

[演者] 渡邊 峻:1
[著者] 室井 大人:1, 中島 政信:1, 菊池 真維子:1, 高橋 雅一:1, 伊藤 淳:1, 山口 悟:1, 佐々木 欣郎:1, 加藤 広行:1
1:獨協医科大学医学部 第一外科学

【背景】食道アカラシアはLES(lower esophageal sphincter)の弛緩不全を病因とし,その治療は,薬物療法,内視鏡治療,外科治療の3つに大別される.長期成績を含め外科治療が最も高い有効性を示すとされており,術式は腹腔鏡を選択する施設が増加している.今回,当院で行った食道アカラシア根治術の手術成績について検討し,報告する.
【対象と方法】2010年4月から2016年12月までに食道アカラシアに対してHeller-Dor手術を施行した12例を対象とした.検討項目は,年齢,性別,アカラシアの拡張型,拡張度,術式,手術時間,出血量,LES圧低下率,食道横径の改善率,術後追加治療の有無,周術期合併症の有無について検討した.
【結果】年齢は56歳(中央値,42-81歳).性別は男性7例(58.3%),女性が5例(41.6%).拡張度はI度が4例(33.3%),II度が6例(50.0%),III度が2例(16.6%).拡張型はStraight type (St)が11例(91.6%),Sigmoid type (Sg)が1例(8.3%).術式は,腹腔鏡下Heller-Dor術が11例(91.6%),開腹Heller-Dor術が1例(8.3%).当科ではHellerの筋層切開の際に再発予防として一部筋層を切除している.手術時間は3時間39分(中央値,2時間48分-8時間45分).出血量は5ml(中央値,1-1185ml).LES圧の術前後の比較では平均で13.97mmHg(p<0.01)の低下が認められた.術前後の食道横径の比較では,平均で1.385cm(p<0.01)の低下が認められた.術後追加治療としてバルーン拡張術を施行したのは2例(16.6%)で,2例とも2回の拡張術でつかえ感は消失した.また,Ca拮抗薬を導入したのは2例(16.6%)で投与期間は数ヶ月と短期的だった.周術期合併症は認めていない.また,全例でAuerbach神経叢の神経細胞の減少を病理学的に認めている.
【考察】当科では食道アカラシア根治術は腹腔鏡を標準として用いており,開腹例は下行結腸癌同時手術症例であった.出血量については,開腹症例を除く11例で少量(平均10ml未満)と良好な結果であった.術後改善率の指標として術前後のLES圧や食道横径の変化を検討したが,共に術前に比較し有意に改善が認められた.また,術後通過障害に対し内視鏡的バルーン拡張術を施行した症例のうち1例で逆流性食道炎による呑酸症状を認め数ヶ月PPIの投与を行う必要があった.
【結語】現在まで術後合併症や再手術が必要な症例は認めておらず,腹腔鏡下アカラシア根治術は安全かつ有用な治療法と思われた.
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