演題

進行下部直腸癌に対する術前化学療法の有効性

[演者] 坂本 義之:1
[著者] 諸橋 一:1, 三浦 卓也:1, 長谷部 達也:1, 吉田 達哉:1, 袴田 健一:1
1:弘前大学大学院 消化器外科学

【背景】下部進行直腸癌治療における更なる成績向上を目指すには,欧米で標準治療とされる術前化学放射線療法に側方郭靖を含めた本邦の手術をプラスすれば最も治療効果が高いといえる.しかし術前放射線療法には,腸管障害,術後排便機能障害,性機能障害などの有害事象も報告されており,また周術期合併症の増加など様々な問題を含んでいる.【目的】術前化学放射線療法を行った症例(CRT群)と術前化学療法を行った症例(NAC群),また術前治療のない手術症例(SA群)との比較を行い,それぞれの短期長期成績を明らかにすることを目的とした.【対象】2002年から2016年まで当科で経験したcStageII/IIIの下部直腸癌症例を対象とした.CRT群:27例,SA群:49例,NAC群:51例.【結果】2000年代当初はCRTを施行した症例もあったが,SA群と比較してみると無再発生存期間(p=0.605),全生存期間(p=0.483)で有意差は認めなかったが,再発形式ではCRT群で肺転移が多い(p=0.023)という結果であった.また局所再発率はそれぞれ10.7%と11.7%で有意な差は認められなかった.そこで2012年より局所コントロールと全身制御を目的とし,術前化学療法(オキザリプラチンを含む)を導入している.腫瘍縮小効果はPR症例が71%であり,平均観察期間がまだ短いため全生存期間ではp=0.331と有意な差は認められなかったが,無再発生存期間ではp=0.022とNAC群で良好な結果であった.局所再発症例は2例であった.術後合併症発症率(Clavien-Dindo分類のGrade III以上)は30%で,CRT群:60.7%,SA群:23.5%と比較するとCRT群が有意に悪い結果であった.またWexner scoreを比較するとCRT群で有意に悪い結果であった(p=0.041).【考察】下部進行直腸癌において,術前の放射線照射は遠隔転移制御や肛門温存をした際の機能の面で課題があるように思われる.今後術前化学療法を行うことで,全身制御と機能温存がはかれ,予後改善に寄与する可能性があると思われた
詳細検索