演題

ESD術後5年5ヶ月で胃に転移再発をきたした,pTa-EPの食道癌の1例

[演者] 浜田 朗子:1
[著者] 武野 慎祐:1, 和田 敬:1, 西田 卓弘:1, 河野 文彰:1, 池田 拓人:1, 前川 和也:3, 佐藤 勇一郎:3, 浅田 祐士郎:3, 七島 篤志:2
1:宮崎大学附属病院 消化管・内分泌・小児外科, 2:宮崎大学附属病院 肝胆膵外科, 3:宮崎大学附属病院 病理部

症例は71歳男性.5年前に検診目的の上部消化管内視鏡検査で中部食道に約2/3周を占める40mm大の0-IIc病変を認めた.中部食道癌の診断で,Endoscopic submucosal dissection (ESD)による一割切除が施行された.病理診断はSquamous cell carcinoma in situ,pT1a-EP,pHMo,pVM0,v0,ly0で根治切除が施行されていた.
以後,定期的に上部消化管内視鏡検査および腹部CT検査で経過をみられていた.約1年前に施行された,上部消化管内視鏡検査では異常所見は指摘されなかった.
ESD術後5年時に,黒色便・吐血があり前医を受診された.著明な貧血を認め,緊急内視鏡検査が施行された.胃噴門部に3型腫瘍を認め,同部からの出血が確認された.出血は保存的加療で改善し,手術・精査目的に当科紹介となった.
腹部造影CTでは,噴門側に46mm大の壁外に突出する腫瘍を認め,内部には左胃動脈が走行していた.腫瘍は胃内に露出しており,前医の生検の結果, Squamous cell carcinomaの診断を得た.また傍大動脈にもPET-CTで異常集積を伴う腫大したリンパ節を認め転移と考えられた.再出血に危険が高いと判断し,開腹下胃全摘術を施行した.
病理組織学的には,腫瘍は粘膜に浸潤し胃内腔にも露出するが,主座が漿膜下にあり,組織型が純粋な扁平上皮癌で腺癌成分が明らかではなく,胃原発よりは食道癌の転移が示唆された.後方視的にも1年前に施行された腹部CTで明らかなリンパ節腫大は指摘されていないが,小彎側に軟部組織陰影を認めており,リンパ節再発の可能性が高いと判断した.
pT1a-MMでは9.3%のリンパ節転移率が報告されているが,pT1a-EP/LPMの表在食道癌はリンパ節転移の可能性が極めて低いとされており,ESD後に断端陰性であれば治癒切除と診断される.一方で,局所再発率が2.6~8.9%程度あるとの報告もあり,経過観察が必要である.本症例は,pT1a-EPの診断で,ESD後5年以上で再発しており非常に稀で,経過の追われている貴重な症例と考えられる.
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