演題

食道癌術前化学療法効果判定におけるMetabolic tumor volume (MTV)測定の意義

[演者] 益池 靖典:1
[著者] 牧野 知紀:1, 山崎 誠:1, 田中 晃司:1, 宮崎 安弘:1, 高橋 剛:1, 黒川 幸典:1, 瀧口 修司:1, 森 正樹:1, 土岐 祐一郎:1
1:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅱ

【背景】
局所進行食道癌の標準治療は術前化学療法(NAC)+外科的切除であるが,予後予測に基づいた化学療法の正確な効果判定が重要である.FDG-PETの定量的指標の一つとしてSUVmaxが現在広く用いられているが,測定誤差やばらつきが大きく標準化には課題がある.Metabolic tumor volume (MTV)は一定値以上のFDG集積を伴う病変の体積を測定するもので,個体内の癌の病勢・特徴をより正確に反映しうる可能性がある.
【対象と方法】
2010年1月~2012年2月に当科で胸部食道扁平上皮癌に対してNAC(FAP;5FU+CDDP+ADMまたはDCF;DTX+CDDP+5FU)1または2コース後に根治切除術を行った100症例が対象.NAC前後で原発巣のCT(2方向測定)による腫瘍面積,FDG-PETの指標としてSUVmaxおよびMTV(検出閾値:SUV 2.5)をそれぞれ測定し,これらと予後(RFS: Recurrence-free survival)を含めた臨床病理学的因子との相関を検討した.
【結果】
全症例の年齢(median):67歳(35-83),男/女:86/14,腫瘍主座:Ut/Mt/Lt:14/46/40,cT1/2/3/4:2/18/66/14,cN0/1/2/3:17/51/30/2,cM0/1:88/12.NAC前後での原発巣SUVmax medianは各10.6(1.8-33.1),3.1(1.5-23.2)でNAC後に有意に減少した(p<0.01) (SUVmax減少率mean/median:54.1/63.1%).NAC前のMTV値(median)は24.8(0.0-183.1)mL であり,cT,cN,cStageと相関を認めた(いずれもp<0.01).NAC後のMTV(median)は1.7(0.0-47.2) mLでありNAC前より有意に減少した(p<0.01)(MTV減少率mean/median:74.7/93.8%).MTV減少率10%毎のstepwise解析ではMTV減少率60%が最も予後(RFS)と相関した(HR=2.643, p=0.002).これに基づいたMTV減少率による奏効例(>60%)は非奏効例(<60%) と比較して腫瘍面積減少率>50%,pT0-2,pN0,pStage1-2の割合が多く(いずれもp<0.01),予後良好であった(3y-RFS:53.3 vs 10.0 %, p<0.01).さらに術前因子のみを用いたRFSの多変量解析では,MTV減少率 (95%CI=1.01-3.78, HR=1.96, p<0.05)とcT (95%CI=1.25-7.25, HR=2.75, p<0.05)のみが独立予後因子であり,腫瘍面積減少率やSUVmax減少率は有意ではなかった.
【結語】
MTVを用いた食道癌化学療法の効果判定はCTやSUVmaxと比べ,より正確な予後予測を可能にする有用な診断ツールとなる可能性が示唆された.
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