演題

標準療法不応食道癌に対するHLA-A24/02拘束性新規ペプチドカクテルワクチン療法の第I/II相臨床試験

[演者] 勝田 将裕:1
[著者] 宮澤 基樹:1, 中森 幹人:1, 中村 公紀:1, 尾島 敏康:1, 辻 俊明:1, 早田 啓治:1, 吉田 和弘:2, 和田 聡:3, 山上 裕機:1
1:和歌山県立医科大学附属病院 消化器外科・内分泌・小児外科, 2:岐阜大学附属病院 第2外科, 3:神奈川県立がんセンター

我々は以前より癌抗原由来のエピトープペプチドをワクチンとして投与し,癌抗原特異的な細胞傷害性T細胞(CTL)を生体内で誘導する癌ペプチドワクチン療法を消化器癌患者を対象に開発してきた.【目的】今回,標準療法不応食道癌患者を対象に,食道癌の特異抗原であるURLC10およびKIF20A由来のエピトープペプチドとVEGFR1およびR2の癌新生血管由来エピトープペプチドの4種類のペプチドをカクテルし,腫瘍新生血管の抑制及び食道癌細胞への特異的攻撃を誘導する新規ワクチン療法の安全性を確認したうえで,探索的に有効性を評価する第I/II相臨床試験を計画した.【方法】ペプチドはそれぞれHLA-A24拘束性とHLA-A24拘束性のワクチンを用意し,HLA-A24陽性かつHLA-A02陰性患者(約40%)にはHLA-A24拘束性ペプチドを投与し,HLA-A02陽性かつHLA-A24陰性患者(約20%)にはHLA-A02拘束性ペプチドを投与した.また,HLA-A24陽性かつHLA-A02陽性患者(約20%)にはHLA-A24拘束性ペプチドとHLA-A02拘束性ペプチドの両方を投与した.標準化学療法不応又は不耐の食道癌患者を対象にペプチドカクテルとIFAのエマルジョン1mlを腋窩または鼠径部にWeeklyに皮下注射し,4週を1コースとして試験治療中止基準に該当しない限り継続投与した.予定被験者数:40名(第Ⅰ相9名,第Ⅱ相31名)とし,有効性の主要評価項目は全生存期間,副次評価項目は安全性評価,免疫学的評価としてペプチド特異的活性化CTLの誘導,無増悪生存期間,腫瘍縮小効果,QOLを評価した.【成績】第I相の症例登録は終了し,因果関係の否定されない重篤な有害事象は認めなかった.第II相試験としてはこれまでに28例が登録された.2016年12月現在,生存期間中央値(MST)は171日と良好であった.特に,HLA-A24(17例)のMSTが139日で有るのに対してHLA-A02(8例)のMSTは198日で,HLA-A02/24(5例)のMSTは212日と最長であった.免疫学的解析では抗原特異的CTLの誘導は生存期間延長との相関が示唆された.また,EORTC-C30によるQOL調査ではワクチン治療によりQOLは維持されていることが示された.【結論】標準療法不応食道癌に対するHLA-A24またはHLA-A02拘束性新規マルチペプチドカクテルワクチン療法の第I/II相臨床試験を開始した.これまでのところ,マルチ抗原に対するエピトープカクテルワクチンとともに,マルチHLA typeに対するエピトープカクテルワクチンが有用である可能性が示唆された.
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