演題

食道扁平上皮癌組織におけるPD-L1発現の臨床的意義についての検討

[演者] 伊藤 希:1
[著者] 辻本 広紀:1, 堀口 寛之:1, 平木 修一:1, 菅澤 英一:1, 野村 信介:1, 神藤 英二:1, 梶原 由規:1, 山本 順司:1, 上野 秀樹:1
1:防衛医科大学校 外科学講座

【緒言】免疫チェックポイント分子のProgrammed death -1 (PD-1)のリガンドである Programmed death ligand-1 (PD-L1)の発現は様々な癌腫において予後不良であるとの報告がなされてきた.しかし近年,乳癌や悪性黒色腫などにおいて,その発現が良好な予後と相関するという報告も散見され,癌組織でのPD-L1の意義については未だ一定した結論に至っていない.今回我々は,食道扁平上皮癌でのPD-L1の発現とその臨床的意義について検討した.【対象と方法】2009年から2014年までに当科で根治手術を施行した食道扁平上皮癌の80例(年齢の中央値,71歳)を対象とした.対象症例の男女比は65:15であり,pStage0,Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳaの症例は各々4例,21例,15例,37例,3例であった.免疫組織科学染色により腫瘍細胞と腫瘍内間質細胞のPD-L1発現を評価し,臨床暴利学的因子や夜ごとの関連を検討した.【結果】腫瘍細胞にPD-L1の発現を認めたものは33例(41%)であり,腫瘍内の間質細胞に認めたものは42例(53%)であった.腫瘍細胞と腫瘍内間質細胞のいずれのPD-L1の発現とも,年齢,性別,前治療の有無,腫瘍深達度,リンパ節転移,病期などの臨床病理学的因子との関連は認められなかった.また,全生存期間や無再発生存期間とも有意な関連を認めなかった.一方,対象症例をpStage II, III, IVaの55例に限って検討すると,腫瘍細胞のPD-L1陽性例は陰性例と比べて,全生存期間(1689日 vs 863日)や無再発生存期間(1268日 vs 339日)が長い傾向が認められた.同様に腫瘍内間質細胞のPD-L1の発現を検討すると,陽性例は陰性例と比べて,全生存期間(1620日 vs 363日),無再発生存期間(1620日 vs 217日)ともに有意に長かった(log rank test :共に p<0.05).【結語】食道扁平上皮癌におけるPD-L1発現と一般的な臨床病理学的因子との関連は認められなかった.一方,腫瘍内間質細胞のPD-L1発現は,良好な予後を示唆する所見である可能性があり,PD-L1陽性間質細胞の特徴や機能について詳細な検討を行うことで,今後PD-L1の臨床的意義が明らかになるものと考えられた.
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