演題

食道癌肝転移切除例の検討

[演者] 菅原 俊喬:1
[著者] 進藤 潤一:1, 上野 正紀:1, 橋本 雅司:1, 宇田川 晴司:1
1:虎の門病院 消化器外科

【背景】食道癌の肝転移は同時性・異時性ともに予後が悪く,肝転移例の生存期間中央値はそれぞれ6ヶ月と4ヶ月と報告されている.食道癌肝転移は他臓器転移を伴う場合や多発である場合が多く,化学療法の適応になることがほとんどである.本邦の食道癌治療ガイドラインでは,遠隔転移を伴う食道癌は化学±放射線療法が推奨され,異時性肝転移は転移数が少ない時は切除対象となる場合があるが切除した場合でも予後は極めて不良と記載されている.しかし,遠隔転移が肝のみで肝転移が切除可能である場合,肝切除の意義はいまだ明らかではない.過去の同時性及び異時性肝転移に対する外科切除例の報告は,長期生存例の1例報告がほとんどである.当院の30年にわたる食道癌治療記録の食道癌肝転移切除例を検討した.
【方法】1984年1月~2016年11月に食道癌肝転移(同時性・異時性)に対して肝切除術を施行された患者について,治療経過・予後について検討した.
【結果】対象期間内に根治的治療を行った食道癌は2011例で,同時性あるいは異時性肝転移を伴っていた症例は122例であった.肝切除を行った症例は7例で,同時性肝転移 3例,異時性肝転移 4例であった.食道原発巣の部位はUt 2例,Mt 2例,Lt 3例であった.食道癌に対する術前化学±放射線療法は2例で施行され,6例が術後補助化学±放射線療法を施行された.異時性肝転移症例の肝切除までの期間は中央値で13ヶ月(7-55ヶ月)であった.肝転移切除間での肝切除の術式は同時性肝転移では全例部分切除であったが異時性肝転移では1区域以上の切除が2例あった.また,再肝切除例が1例あった.肝切除後は4例に対して肝動注化学療法が行われた.肝切除後の生存期間が24ヶ月以上の症例は2例であった.1例はcT2N1M1(肝)でS5,8の肝転移を切除生検後に根治的化学放射線療法を施行し,現在15年目で化学療法フリー生存中である.もう1例はpT3N3M0で根治的手術+術後縦隔照射ののち,5年目に肝転移に対して2回肝切除を施行し,4年生存した症例であった(転院).肝転移発症までの間隔が長く,化学放射線療法への反応性が良い症例が長期生存した.
【結語】食道癌肝転移は手術適応になることが少なく,切除例であっても長期生存は厳しかったが,長期生存例も存在することから症例によっては肝切除が集学的治療のオプションに成り得る可能性がある.
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