演題

進行胃癌に対する腹腔鏡下幽門側胃切除術の短期成績-多施設共同ランダム化比較試験(JLSSG0901)-

[演者] 衛藤 剛:1,10
[著者] 稲木 紀幸:2,10, 李 相雄:3,10, 桜本 信一:4,10, 吉田 和弘:5,10, 肥田 圭介:6,10, 細田 桂:7,10, 國崎 主税:8,10, 小嶋 一幸:9,10, 北野 正剛:10
1:大分大学医学部 消化器・小児外科, 2:石川県立中央病院 消化器外科, 3:大阪医科大学附属病院 消化器外科, 4:埼玉医科大学国際医療センター 上部消化管外科, 5:岐阜大学 腫瘍外科, 6:岩手医科大学 外科, 7:北里大学医学部 外科学, 8:横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター外科, 9:東京医科歯科大学 低侵襲医歯学研究センター, 10:腹腔鏡下胃切除術研究会

【背景】胃癌に対する腹腔鏡下手術は年々普及しているが,進行胃癌に対する標準治療としての位置付けは明確ではない.
【目的】進行胃癌に対する幽門側胃切除術の中で,腹腔鏡下手術と開腹手術の安全性と根治性に関するランダム化比較試験(JLSSG0901)の短期成績について報告する.
【試験デザイン】全国37施設が参加したランダム化比較試験(非劣性試験:UMIN000003420).適格基準は年齢20-80歳,術前診断MP/SS/SE, N0-2(bulkyN2を除く),幽門側胃切除術で根治切除が可能な病変(十二指腸浸潤は除く)とした.主評価項目は無再発生存期間,副評価項目は全生存期間,有害事象発生割合,腹腔鏡下手術完遂割合,開腹移行割合,郭清リンパ節個数,術後早期臨床経過,再発形式とした.ランダム化割り付け因子は施設,壁深達度,リンパ節転移とした.
【試験の特色】(1)術式の規定;D2リンパ節郭清を伴う幽門側胃切除術,(2)QC/QAの確保;手術担当責任医の認定と写真中央判定によるreviewを実施,(3)IC取得向上のためアンケート実施
【進捗状況】2016年7月に目標の507例の登録を完了し,現在追跡中である.
【短期成績】腹腔鏡群(以下LAP群)227例,開腹群(以下OP群)233例のper protocol treatment setにて解析した.患者背景では性別,年齢,PS,BMIおよび術前stageに両群で有意差はなかった.LAP群はOP群に比べ手術時間は延長するが(P<0.001),出血量,排ガスまでの日数,鎮痛剤使用回数で優れていた(P<0.001).CTCAE ver4.0を用いた All gradesの術中偶発症に有意差はなかった(LAP群0.9% vs OP群2.6%).All gradesの術後合併症の内,膵液漏,腹腔内膿瘍,縫合不全,肺炎の発生率に両群で有意差はなかった.またgrade 3以上の術後合併症発生率にも有意差はなかった(LAP群 3.1% vs OP群4.7%).在院死を1例ずつに認めた(LAP群0.4% vs OP群0.4%).
【結語】本試験の対象となる進行胃癌への腹腔鏡下幽門側胃切除術は熟練した外科医により安全に施行しうる.標準治療の位置付けとしては長期成績の評価が必須である.
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