演題

進行胃癌に対する5-アミノレブリン酸による光力学診断を併用した審査腹腔鏡検査の有用性

[演者] 斎藤 百合奈:1
[著者] 高橋 剛:1, 宮崎 安弘:1, 牧野 知紀:1, 黒川 幸典:1, 山崎 誠:1, 中島 清一:1, 瀧口 修司:1, 森 正樹:1, 土岐 祐一郎:1
1:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅰ

【背景・目的】胃癌は転移形式として腹膜播種を多く認めるが,CTや内視鏡検査などの画像検査での検出は困難である.大型3型,4型胃癌など腹膜播種が疑われる症例に対しては審査腹腔鏡検査を行っているが,検出感度には限界がある.一方,5-アミノレブリン酸(ALA)の代謝産物が腫瘍選択的に蓄積し,青色光下で蛍光発色することを利用した光線力学診断が神経膠腫の摘出範囲決定に現在用いられている.今回我々は胃癌の審査腹腔鏡検査にこの技術を応用し,ALAの安全性,腹膜播種の検出感度,陽性的中度および審査腹腔鏡検査施行後の予後について検討した.【対象・方法】審査腹腔鏡検査を行う進行胃癌を対象とした.手術開始3時間前にALA 1gを経口投与し,内服後はサングラスを着用して太陽光に暴露しないよう遮光した.観察は通常観察(白色光)に続いて光線力学観察(青色光)を行い,播種病変を検索した.白色光下の白色結節または青色光下の赤色結節として確認できた播種病変を疑う病変を生検し,病理学的に診断を行った.【結果】現在までに施行した31例の年齢(中央値(範囲)) は69(37-79) 歳,男性:女性=20:11例であった.術前診断は,T3/4が4/27例,N0/1/2/3が7/5/14/5例であった.病理学的に腹膜播種ありと診断した症例は12例(38.7%)であった.白色光では検知できず,ALA併用で腹膜播種を診断しえた症例を1例認めた.生検した64病変は,(通常光観察/光線力学観察):(+/+)/(-,+)/(+,-)=26/17/21病変であった.病理陽性と診断されたのは23病変(31.5%)であった.通常観察の感度は87.0%,光線力学診断併用観察の感度は100%であり,13.0%の上乗せを認めた.白色光観察の陽性的中度は42.6%,光線力学診断併用観察では35.9%であった.審査腹腔鏡検査施行後に根治手術を行った症例は18例で,そのうち5例に再発を認めた.再発形式は,腹膜播種2例,リンパ節転移2例,肝転移1例であった.ALA 投与に関わる有害事象は嘔気6例(19.4%),嘔吐2例(6.5%),AST上昇12例(38.7%),ALT上昇10例(32.3%)であり,そのほか重篤な有害事象は認めなかった.【まとめ】ALAを用いた光力学的診断は安全で,腹膜播種の検出感度の上乗せを認め有用である可能性が示唆された.
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