演題

胃癌に対する審査腹腔鏡検査の有用性と偽陰性症例の検討

[演者] 安福 至:1
[著者] 熊谷 厚志:1, 比企 直樹:1, 井田 智:1, 布部 創也:1, 大橋 学:1, 佐野 武:1, 山口 俊晴:1
1:がん研究会有明病院 消化器外科

【背景・目的】胃癌に対する審査腹腔鏡検査(staging laparoscopy: SL)は腹膜転移の診断に有用であり,画像検査で腹膜播種が疑われる症例の他,肉眼型大型3型・4型進行胃癌症例や,術前化学療法(NAC)前の病期診断で行われている.一方SLは腹腔鏡下の操作であるため,開腹操作と比較すると腹腔内の観察に制限があり,P0(腹膜播種なし)CY0(腹水細胞診陰性)と診断されても,後日開腹手術を行った際に腹膜転移が明らかとなる(偽陰性)ことがある.本研究では胃癌に対するSLにおける腹膜転移の診断精度と,偽陰性例の詳細を検討することを目的とした.【対象・方法】当院における胃癌に対するSLの適応は①長径8cm以上の大型3型・4型胃癌,②Bulkyリンパ節・大動脈周囲リンパ節転移を有する症例,③画像検査で腹膜播種が疑われる症例である.SLは全身麻酔・気腹下に腹腔鏡を用いて腹腔内を観察し,左横隔膜下とダグラス窩の洗浄細胞診を行っている.当院で2009年6月~2016年11月の期間に胃癌に対して施行されたSL のうち,P0CY0と診断され後日原発巣切除目的に開腹手術が行われた症例を対象とした.SL後にNACを行った症例,SLと同日に原発巣切除を行った症例は除外した.【結果】当該期間に胃癌に対して行われたSLは340件あり,うち対象症例は99例であった.SLから原発巣切除までの期間は中央値12(2~41)日であった.99例中78例(79%)では開腹手術時にもP0CY0 であったが,21例(21%)で原発巣切除時に腹膜播種(P)や腹腔洗浄細胞診陽性(CY1)が判明した(偽陰性).偽陰性となった因子はCY陽性が12例,小腸間膜にPを認めた症例が6例,網嚢内にPを認めた症例が5例,結腸間膜にPを認めた症例が3例,小網にPを認めた症例が1例であった(複数因子の重複あり).SLで腹膜転移が正しく診断された症例群と偽陰性群の間で,年齢,性別,cTNM分類,手術時間,BMI,SLから開腹手術までの期間[熊谷厚志1] ,SL前の化学療法の有無に統計学的有意差を認めなかった.【まとめ】胃癌に対するSLの偽陰性率は21%であった.SL施行時には網嚢内や小腸間膜の腹膜播種の有無を十分に評価することで診断率の向上が期待できる可能性が示唆された.
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