演題

噴門側胃切除術後における再発症例の検討

[演者] 林 雅規:1
[著者] 瀬山 厚司:1, 吉峯 宗大:1, 菅 淳:1, 井上 隆:1, 守田 知明:1
1:周東総合病院 外科

【緒言】近年,U領域の早期胃癌に対して侵襲軽減や残胃機能温存目的で積極的に噴門側胃切除術を行う施設が増えてきている.全国規模の多施設共同横断研究であるPGSAS studyでも,噴門側胃切除術は胃全摘術に比し,食道逆流では差が無く,食事量・下痢・ダンピング・体重で噴門側胃切除が優れていると報告している.しかし,その一方で噴門側胃切除術後の残胃癌発生率が高いことや,術前の深達度診断が過小評価であった場合などが問題となっている.今回,当院における噴門側胃切除術後の再発症例について検討したので報告する.【対象と方法】2009年から2015年の6年間,当院で噴門側胃切除術を施行した胃癌症例19例を対象とした.残胃癌を含む再発群(4例)と,非再発群(15例)における病理組織学的因子等について,両群間で後方視的に比較検討した.組織型はpap, tubを分化型とし,por, sig, mucを未分化型とした.【結果】平均年齢は68.8歳(39~83歳),男女比は15:4,平均観察期間は1740日であった.腫瘍径は平均2.3cm,深達度はm6例,sm8例,mp3例,ss2例であった.組織型は分化型11例,未分化型8例であり,総合所見としてstage Ia 13例,stage Ib 4例,stage IIa 1例,stage IIIa 1例であった.再発群の内訳は,リンパ節転移が1例(sm, N0, muc),播種性骨髄癌症が1例(sm, N1, por),局所再発が1例(ss, N2, por),残胃癌発生が1例(sm, N0, por)であった.年齢,男女比,肉眼分類,腫瘍部位,腫瘍径,脈管侵襲,深達度,進行度において,両群間に有意差はなかった.組織型では,再発群の4例全例(100%)が未分化型であったことに対し,非再発群における未分化型は4例(26.7%)と有意に少ない結果となった.また,sm以深の未分化型は5例中4例(80%)が再発していた.【結語】今回の検討では,未分化型に対する噴門側胃切除術後の症例で再発率が高い結果になった.特にU領域でsm以深が疑われる未分化型症例に対しては,術式選択に注意が必要と思われた.
詳細検索