演題

胃癌根治術後の炎症反応上昇と予後との関連

[演者] 河野 友輔:1
[著者] 齊藤 博昭:1, 尾崎 知博:1, 村上 裕樹:1, 黒田 博彦:1, 松永 知之:1, 福本 陽二:1, 前田 佳彦:1, 蘆田 啓吾:1, 藤原 義之:1
1:鳥取大学医学部 病態制御外科学

(背景)
消化器癌に対する根治治療は手術であるが,一方で手術操作により生体には炎症が惹起される.最近,術後の感染性合併症の発生が癌患者の予後を悪化させることが報告されていることから,手術操作などに伴う炎症反応の上昇も予後を悪化させる可能性があると考えられる.そこで今回は胃癌根治術後患者における術後の炎症反応上昇と予後との関係について検討を行った.
(対象と方法)
2000年1月から2012年2月までに当院で治癒切除術を受けたstage II / IIIの胃癌患者139例を対象とし,術後10日間の血清CRP値の最高値(CRP Max)を用いて検討した.合併症はClavien-Dindo分類に基づいて評価した.
(結果)
1. CRP Maxは2.08 mg/dlから79.07 mg/dlで,平均は13.53 mg/dlであった.
2. 臨床病理学的因子との関連では,CRP Maxは男性(p=0.00016)およびCD II以上の感染性合併症を発症した症例(p<0.0001)で有意に高値であった.
3. 予後に関してROC解析を行ったところ,18.55mg/dlが至適カットオフ値であった(AUC 0.534, p=0.51).CRP Max高値群(≧18.55mg/dl)および低値群(<18.55mg/dl)の5年生存率(DSS)は48.0% (n=25)および73.7%(n=114)で,高値群で有意に予後不良であった(p=0.013).
4. CDII以上の感染性合併症のなかった症例(n=118)ではCRP Max高値群および低値群の5年生存率は55.6% (n=18)および75.0%(n=100)で,高値群で予後不良の傾向が認められた(p=0.063).
5. 多変量解析では年齢,深達度とともにCRP Maxが独立した予後因子であった.
6. CRP Maxと術前CEA値およびCA19-9値との間には有意な相関関係は認められなかった.
(考察)
今回の結果から,CRP Maxは独立した予後予測因子であった.
したがって,CRP Maxで反映される術後炎症反応の上昇を抑えることが予後を改善させると考えられた.術後炎症反応を抑える周術期管理,手術手技の工夫が胃癌治療の成績の向上に寄与する可能性が示唆された.
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