演題

進行胃癌に対する腹腔鏡下手術:Propensity score matchingによる開腹胃切除術との比較

[演者] 宮崎 安弘:1
[著者] 瀧口 修司:1, 黒川 幸典:1, 高橋 剛:1, 山崎 誠:1, 牧野 知紀:1, 田中 晃司:1, 中島 清一:1, 森 正樹:1, 土岐 祐一郎:1
1:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅱ

早期胃癌に対する腹腔鏡下幽門側胃切除術は長・短期成績のエビデンスが確立し,胃癌治療ガイドラインにおいても,Stage IBまでが推奨されるに至った.さらには腹腔鏡下胃切除術に対するD2郭清手技も各施設で行われるようになり,幽門側胃切除・胃全摘術それぞれにおけるリンパ節郭清手技についてもある程度確立されてきたと思われる.当科では2007年より進行胃癌に対する腹腔鏡胃切除術を積極的に施行してきており,今回,術後成績に関してpropensity score(PS)マッチングによる開腹胃切除術とのretrospectiveな比較検討を行った.【方法】2001年から2013年までに当科でR0/1切除を施行した1242例のうち,pStageI胃癌758例を除いた,pStage II/III/IV胃癌444例を対象とした.性別,組織型,腫瘍径,郭清範囲,術前化学療法(NAC)の有無,術式(胃全摘/幽門側・噴門側),pT,pStageを共変量因子とし,ロジスティック回帰分析によるPSを算出し,PSマッチング後の腹腔鏡下胃切除と開腹胃切除の間で術後成績を比較した.進行胃癌については洗浄細胞診を施行し,腫瘍周囲胃壁を直接把持しないように留意した.【結果】pStage II/III/IV胃癌444例中,開腹群344例 ,腹腔鏡群100例であった.これらにおける背景因子の比較ではstage,pT,腫瘍径で有意な偏りを認めたが,PSマッチングを行うことにより62例を各群抽出したところ,背景因子に偏りが消失した.この62例でのマッチング後比較において,腹腔鏡群では,手術時間が有意に長く(中央値235分vs. 217分, P=0.004),出血量は有意に少なかった(中央値130mL vs. 375mL, P<0.001).Clavien-Dindo分類による,GrII以上の術後合併症は両群間で有意差を認めず,特にGrIII以上の膵液瘻/腹腔内膿瘍の発生を腹腔鏡群では認めなかった(開腹群で2例/5例).また,RFS/OSいずれにおいても両群間で有意差は認めなかった(P=0.31, P=0.69).【結論】PSマッチングによる開腹胃切除術との比較では,進行胃癌に対する腹腔鏡手術は安全に施行可能であり,予後に差を認めなかった.また,開腹手術で認めた膵関連有害事象は腹腔鏡下手術では認めなかった.
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