演題

腫瘍径から考える食道胃接合部癌における外科治療戦略

[演者] 星野 敢:1
[著者] 鍋谷 圭宏:1, 滝口 伸浩:1, 池田 篤:1, 高山 亘:1, 早田 浩明:1, 千葉 聡:1, 有光 秀仁:1, 柳橋 浩男:1, 永田 松夫:1
1:千葉県がんセンター 消化器外科

【目的】食道胃接合部癌の患者数は年々増加傾向にある.しかしながらその治療方針には明確なコンセンサスはなく,ガイドライン上も暫定的に「長径4cm以下の食道胃接合部癌」に対するリンパ節郭清アルゴリズムが表記されているのみである.今回当科における接合部腺癌について臨床病理学的な検討を行い至適郭清範囲について検証を行った.【方法】2006年1月から2015年12月までの10年間に当科にて切除が行われた食道胃接合部癌(西分類)のうち腺癌症例を対象とした.臨床病理学的な検討を行うとともに,郭清範囲,再発形式等の因子について,4㎝以上(以下:S群),以下(S群)の症例に分けて解析を行った.【結果】同期間において切除された食道癌286例,胃癌1988例の内,接合部腺癌と診断された症例は41例(1.8%)であった.術式は右開胸が4例(9.8%),左開胸が11例(26.8%),経裂孔的に切除が施行されていたものが26例(63.4%)であった.食道の切除範囲については,食道亜全摘が施行されたものは2例(4.9%)のみ,39例(95.1%)が下部食道切除であった.胃全摘22例(53.7%),噴門側胃切除(胃管作成症例含む)19例(46.3%)であった.腫瘍中心の平均は+4.0mmであり胃側にあった.腫瘍の大きさは平均55.1mmで4cmを越える症例が29例(70.7%)を占めた.リンパ節転移率は全体で60.9%,L群では68.9%,S群では41.7%であった(p=0.20).縦隔へのリンパ節転移症例はL群において3例(10.3%)に認めたが,S群では認めなかった.再発はL群で,13例(44.8%)に認め,S群では1例(8.3%)のみであり有意にL群で多かった(p=0.03).L群での再発症例のうち2例(6.9%)では上縦隔リンパ節への転移再発を認めていた.5年生存率はL群,S群それぞれ50.6%,80.0%であった.【結語】食道胃接合部癌において腫瘍の増大に伴い,縦隔での転移範囲も拡がる可能性が考えられた.食道胃接合部癌では組織型が腺癌であっても腫瘍が大きく進展範囲が広い場合は上・中縦隔の郭清が必要となる可能性が示唆された.
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