演題

当施設におけるSiewert typeIIの食道胃接合部腺癌に対する外科治療

[演者] 亀井 英樹:1
[著者] 西田 良介:2, 南 泰山:1, 最所 純平:2, 磯邊 太郎:1, 木崎 潤也:1, 的野 吾:2, 森 直樹:2, 田中 寿明:2, 赤木 由人:1
1:久留米大学医学部 胃・大腸外科, 2:久留米大学医学部 食道外科

【背景】Siewert typeIIの食道胃接合部腺癌は,その解剖学的な位置関係より郭清範囲や術式に関して一定の見解は得られていなかった.近年のRCTの結果により,開腹裂孔アプローチによる可及的な下縦隔リンパ節郭清が推奨されているが,2学会合同による前向き試験が現在進行中である.【目的】当施設のSiewert typeIIに対するリンパ節転移・予後をretrospectiveに検討すること.【対象・方法】当施設において2000~2015年までに施行したSiewert typeIIに対して食道および胃外科で施行したT2以深の39例を対象とした. 残胃癌,多発癌,重複癌,スキルス,80歳≧およびR2症例は除外した. リンパ節転移の状況,臨床病理学的因子,術式および予後について検討した.【結果】術式として左開胸は16例,開腹は23例に選択されていた.左開胸群は開腹群に比べEG症例が多く,食道浸潤距離(3.2 vs 1.6cm)および食道切除長(5.2 vs 2.8cm)が有意に長かった(p<0.01).下縦隔郭清が施行されたのは21例(経裂孔:5,肋間:16)であり,その内の7例(33%)に転移を認め全てNo.110であった.食道浸潤距離が3cm以上の症例は15例であり,その内の40%に縦隔リンパ節転移を認めた. 腹腔内リンパ節はNo.1,2,3,7,9,11pに高頻度に転移を認め,郭清効果も高い値を示した. 一方で,No.4d,5,6のリンパ節転移は低率であった.16a2latのリンパ節転移は,郭清を施行した12例中4例(30%)に認め,1例の長期生存例が存在した.再発形式はリンパ節,播種,血行性転移の順に多く認めた.全症例のOSのMSTは34ヵ月であった.予後を規定する因子として,高度リンパ節転移(≧7)が抽出された(p<0.05).【まとめ】今回の検討において下縦隔リンパ節転移の多くはNo.110 のみであり,食道浸潤距離の高度な症例(≧3cm)に多く認めた.その一方で,食道浸潤距離が3cm未満の症例においても縦隔転移症例も存在した.大動脈リンパ節の予防的郭清の意義は症例が少なく不明であるが,大動脈リンパ節転移陽性症例の中にも長期生存症例を認めた.【結論】T2以深のSiewert typeIIの食道胃接合部腺癌の標準術式としては,開腹操作による経裂孔的下縦隔郭清と大動脈リンパ節郭清を伴う下部食道・噴門側胃切除が推奨されると思われる.
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