演題

食道胃接合部腺癌(Siewert type II)に対するリンパ節郭清効果と至適郭清範囲

[演者] 江間 玲:1
[著者] 細田 桂:1, 後藤 卓也:1, 中本 修司:1, 鷲尾 真理愛:1, 三重野 浩朗:1, 森谷 宏光:1, 山下 継史:1, 渡邊 昌彦:1
1:北里大学病院 外科

[背景] Siewert type II食道胃接合部腺癌は増加傾向であるが,縦隔腹腔双方のリンパ流により広範なリンパ節転移を来す可能性があり,至適なリンパ節郭清範囲は明かではない.[目的] Siewert type II食道胃接合部腺癌に対するリンパ節郭清効果を明らかにすること.[対象] 1997年1月から2016年9月の期間で手術を施行したSiewert type II食道胃接合部腺癌のうち,R2切除症例および術前化学療法症例を除外した91例を対象とした.リンパ節部位別に転移症例数の割合を求め,転移を認めた症例の5年全生存割合を掛け合わせて100倍したものをリンパ節郭清効果指数とした.[結果] 年齢中央値68歳 (33-85),男性78例,分化型腺癌60例であった.UICC TNM分類(7th)による内訳は,pT1a/pT1b/pT2/pT3 8/21/14/48,pN0/pN1/pN2/pN3a/pN3b 41/18/12/15/5,CY0/CY1 46/5であり,RM0/RM1 86/5,R0/R1 81/10であった.術後補助化学療法は29例に施行し,そのうち24例はS-1療法であった.観察期間中央値は45ヶ月,5年全生存割合は59.5%であった.転移を認めたリンパ節部位の転移割合と郭清効果指数は,高い順に,#3 (0.32, 16.0), #1 (0.34, 13.3), #2 (0.23, 9.3), #7 (0.21, 7.2),#110,111,112 (下縦隔) (0.20, 6.7), #10 (0.13, 5.0)であった.中,上縦隔への転移例は各々2例,1例であったが,いずれも3年以内に死亡した.#5, #6, #4dには転移再発を認めなかった.再発例は25例で,初回再発部位は,腹腔内リンパ節(大動脈周囲リンパ節) 7例,腹膜6例,縦隔内リンパ節7例,肝4例,肺3例,局所2例,頚部リンパ節1例であった(重複あり).7例の縦隔内リンパ節再発はすべて中,上縦隔リンパ節再発であった.その7例中4例は大動脈周囲リンパ節転移を伴っていた.[総括] Siewert type II食道胃接合部腺癌に対する#1, #2, #3, #7のリンパ節は郭清効果が高い.下縦隔や脾門部のリンパ節は,郭清効果を認める症例が少ないながらも存在した.中,上縦隔へのリンパ節転移を伴うSiewert type II食道胃接合部腺癌は予後不良であり,その部位のリンパ節郭清は慎重に適応を決定する必要がある.
詳細検索