演題

早期胃癌内視鏡治療非治癒切除症例の検討

[演者] 中村 理恵子:1
[著者] 須田 康一:1, 和田 則仁:1, 川久保 博文:1, 竹内 裕也:1, 北川 雄光:1
1:慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科

【はじめに】早期胃癌に対するESDを主とする内視鏡治療は手技的に確立され,絶対適応病変から相対適応病変の範疇に入る可能性のある腫瘍に対しては積極的に行われる治療法となった.最終病理診断にて非治癒切除と判定された場合,基本的にはリンパ節転移リスクが高いとの診断にて追加外科切除が必須とされるが追加外科手術後病理診断で遺残腫瘍無し・リンパ節転移陰性である症例が多く存在する.その一方で切除検体にリンパ節転移が存在する症例や,遺残腫瘍が存在した症例も認められる.【方法】当院にて内視鏡治療を受けた胃癌症例のうち非治癒切除と診断された症例を抽出し,追加切除が行われた症例と追加治療なしで経過観察された症例に分類した.手術症例においては明らかな癌遺残があった症例とリンパ節転移があった症例に,経過観察症例においては再発症例に着目しその臨床的特徴を検討した.【症例】2000年4月から2016年9月までの非治癒切除症例は171例抽出された.そのうち追加治療として手術を施行された症例は116例,追加治療をせず経過観察をした症例は55例であった.追加手術をした症例のうち手術検体にて遺残腫瘍が認められた症例は22例,リンパ節転移が認められた症例は12例であった.経過観察症例のうち,局所再発症例は4例,遠隔転移を認めた症例は1例であった.【結果】追加外科手術のうち88例(75.8%)は最終病理組織学診断にて遺残腫瘍・リンパ節転移ともに認められなかった.遺残腫瘍なくリンパ節転移を認めた症例は5例であった.sm1 1例,sm2 4例で,全例脈管侵襲陽性症例であった.遺残腫瘍が認められた症例は22例で,切除検体の病理診断がsm2以深の腫瘍であった症例は12例,うち8例にリンパ節転移を伴っていた.遺残腫瘍がm/sm1であった症例は10例で,うち5例は内視鏡治療時に明らかに断端が陽性,4例は内視鏡治療の病理診断がsm2であり,1例はsig,mの症例であった.経過観察症例のうち6例(10.9%)において再発が確認され,4例は胃癌の再発であった.3例はsm1/sm2の断端陽性症例で,局所再発からの遠隔転移を認めた.1例はsm2,v(+)で局所再発のない遠隔転移であった.2例は他癌再発の可能性もある症例であった.【結語】内視鏡治療適応外病変において,脈管侵襲陽性・切除断端陽性・sm2症例は遺残腫瘍もしくはリンパ節転移の可能性が高いと考えられる.未分化癌も症例によって追加切除を考慮するべきであると考えられた.
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