演題

胃癌ESD後の非治癒切除に対する追加外科切除症例の検討

[演者] 福富 聡:1
[著者] 里見 大介:1, 森嶋 友一:1, 豊田 康義:1, 利光 靖子:1, 榊原 舞:1, 土岐 朋子:1, 山本 海介:1, 守 正浩:1, 石毛 孔明:1
1:千葉医療センター 外科

【はじめに】
胃癌ESD 後の病理検査で適応外病変(非治癒切除)と診断された患者に対してはリンパ節郭清を伴う追加外科切除が勧められているが癌の遺残やリンパ節転移を認めない症例を経験することも多く手術を回避できた症例も含まれている可能性が高い.今回我々は,ESD 後に非治癒切除と診断され追加外科切除を行った症例に関し検討を行った.
【対象】
2010年6月~2016年11月に胃癌ESD 後に非治癒切除と診断され追加外科切除を施行した16例を対象とした.
【結果】
患者背景:年齢中央値70歳(50~82 歳),男性14例,女性2例.組織型は分化型14例,未分化型2 例,壁深達度はM が2例,SM1 が2例,SM2 が12例であった.水平断端は陽性1例で評価不能1例,垂直断端は陽性7例であった.リンパ管侵襲は陽性4例,静脈侵襲陽性は4例であった.
非治癒切除と診断された因子: SM2 が最も多く12例(75.0%),脈管侵襲陽性が8例(50.0%),未分化型で'SM 浸潤''腫瘍長径が20 mm より大きい'のいずれかを伴うものが2例(12.5%),腫瘍長径30 mm以上のSM1 癌が1 例(6.6%),2分割切除例が1例であった.
癌の遺残症例(5例,31.2%):ESD 切除標本において切除断端陽性例は2例(垂直断端2例),評価不能例は2例(水平断端)であった.垂直断端陽性例の2例は粘膜下層における遺残とMP浸潤であった.水平断端評価不能例はいずれも粘膜層に限局した遺残であった.1例は切除断端陰性にもかかわらず粘膜下層に癌の遺残を認めたが組織型は乳頭腺癌で微小乳頭状の増殖を呈し高度のリンパ管浸潤像を認めた.
リンパ節転移症例(5例,31.2%):ESD 切除標本では組織型は分化型4例,未分化型1例で全例SM浸潤(SM1:1例,SM2:4例)を認めた.1例を除き脈管侵襲陽性(ly:3例,v:2例)であった.追加切除標本では全例pN2,3例で癌の遺残を認めた.
転帰:観察期間の中央値は39 か月(11~77 か月)で, 1例に再発(リンパ節)を認めた.
【結論】7例(43.6%)に癌の遺残もしくはリンパ節転移が認められ,再発例もあることから現状では非治癒切除の基準は概ね妥当と思われる.さらなる検討が必要であるが,脈管侵襲がない分化型症例はリンパ節転移の可能性が低く,また,水平断端陽性例の癌遺残は粘膜内に限局していることから,症例によっては追加外科切除を省略できる可能性がある.
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