演題

非治癒・内視鏡的粘膜下剥離術後に追加外科手術した胃がん症例の臨床病理学的検討

[演者] 仁和 浩貴:1
[著者] 大嶋 勉:1, 倉橋 康典:1, 海邊 展明:1, 瀧井 麻美子:1, 小澤 りえ:1, 中尾 英一郎:1, 菊池 正二郎:1, 笹子 三津留:1, 篠原 尚:1
1:兵庫医科大学病院 上部消化管外科

背景
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は早期胃がんの主要な治療法であるが,病理結果で非治癒切除と判断され,追加外科切除となるケースも15%程度ある.しかし,そういった症例の臨床病理学的解析に関する報告はまだ少ない.
目的
追加切除後の,局所遺残率,リンパ節転移率を明らかにする.また,同時期に行われた,手術症例のSM癌のリンパ節転移率も調査する.
方法
2008年から2015年に,当院で施行したESD症例で,非根治と診断され,追加外科切除となった48例を後ろ向きに,病理結果や術式などを調査した.
また,同時期の手術症例のSM癌236例のリンパ節転移率も調査した.
結果
フォローアップ期間は9-83ヶ月で,再発例はなかったが,他病死を2例認めた.
追加外科切除の術式は,胃切除が45例,胃全摘が3例であった.胃切除の内訳は,部分切除と幽門温存胃切除が半数を占めており,機能温存も考慮した術式選択であった.
外科切除を追加したESD非根治48例の最終病理結果は,M癌は5例,SM1癌は6例,SM2癌は34例,MP癌は3例であった.がんの遺残に関しては,48例の外科切除標本の病理結果で,①局所遺残のみ5例,②リンパ節転移のみ3例,③両者を認めたもの1例,であった.リンパ節転移を認めた4例はすべてSM2癌であった.
また,手術症例236例において,リンパ節転移率は,SM1癌で7.8%,SM2癌で20.5%であり,ESD先行例のSM癌のそれより高いものであった.
考察
ESD施行例のうち,SM2癌に注目すると,34例のうちリンパ節転移を認めたのは,計4例(11.8%)であり,手術症例のSM2癌の20.5%より低いものであった.
結論
早期胃癌で根治の可能性があると判断され,ESDを行った症例の,SM癌のリンパ節転移率は,手術症例に比べ,低かった.今回の結果は,高齢者や高リスク患者で,追加外科切除を実施するかどうかを検討する際の判断材料になると考えられる.
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