演題

再入院を要した大腸癌手術症例の検討

[演者] 高橋 亜紗子:1
[著者] 斉田 芳久:1, 榎本 俊行:1, 竹下 惠美子:1, 長尾 さやか:1, 渡邊 良平:1, 樋口 格:1, 片田 夏也:1, 草地 信也:1
1:東邦大学医療センター大橋病院 外科

【はじめに】近年,大腸癌手術の周術期管理においては,術後早期回復を図りERASが導入され,改良が続けられている.当科においても,ERASプログラムを組み入れたクリニカルパスの導入や,病院全体としてのDPCの導入により,大腸癌術後の早期退院を積極的に進めている.しかし一方で,平均在院日数の短縮により,再入院が増加したとも言われている.予期せぬ再入院の増加や治癒率の低下は,病院機能評価にも関わるため,予期せぬ再入院はできるだけ避けたい事象である.今回われわれは,当科における大腸癌手術症例において,予期せぬ再入院を余儀なくされた症例の背景因子ついて検討した.
【対象と方法】2014年4月~2016年12月までに,当科で大腸癌に対して腸管切除を行った331例を対象とした.そのうち手術の有害事象として退院後30日以内に予期せぬ再入院を要した症例を再入院症例とし,それ以外の非再入院症例と後方視的に比較検討を行った.
【結果】全症例331例中,再入院症例は10例(3.0%)であった.10例の内訳は,年齢中央値74歳(53-84歳),男性/女性:7/3例,腫瘍占拠部位は虫垂1例,上行結腸3例,S状結腸2例,直腸4例であり,術前治療を行った症例はいなかった.手術は腹腔鏡下手術が7例,開腹手術が3例で行われており,手術時間の中央値は333.5分(126-507分),出血量は45ml(0-680ml)であった.術後合併症発生率は30%(3/10例)と高く,また初回退院までの平均在院日数は15.5日と通常のパスを延長した症例が多かった.
再入院は退院してから平均6.5日後に起こっており,理由として縫合不全:1例,膿瘍形成:4例,イレウス:4例,吻合部出血:1例であった.いずれもCD分類GradeⅡ-Ⅲaに相当するものであり,再手術を要した症例はなかった.再入院後の平均在院日数は6.5日であった.
【結語】大腸癌手術症例において術後7日目に退院するクリニカルパスを使用しても,再入院率は低く,安全に術後管理が行える.しかし手術時間が長く,術後合併症を来した症例は再入院のリスクがあるため留意しなければならない.
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