演題

当院におけるERASプロトコールによる術後早期経口摂取による安全性と有効性について

[演者] 佐田 春樹:1
[著者] 安達 智洋:1, 向井 正一朗:1, 矢野 琢也:1, 河内 雅年:1, 田口 和浩:1, 寿美 裕介:1, 川堀 勝史:1,2, 恵木 浩之:1, 大段 秀樹:1
1:広島大学大学院 消化器・移植外科学, 2:医療法人 三渓会 川堀病院

【背景】ERASプロトコールの導入は在院日数の短縮と早期社会復帰の実現が期待できる.一方で術後早期の経口摂取は,術後麻痺性イレウスや縫合不全を悪化させる懸念より,早期経口摂取の疑問を抱く外科医も少なくない.
【目的】大腸癌切除症例にERAS群(術後1日目より流動食を開始し,腹部症状がなければ術後2日目に固形食開始)と従来群(術後3日目以降に固形食開始)を比較し,術後早期経口摂取の妥当性を安全性と有効性にて検討した.
対象:2014年10月~2015年10月までに当院で経験した大腸癌手術症例で,緊急手術例・人工肛門造設例・術前化学放射線治療例を除く72例を対象とした.
【方法】ERAS群と従来群について,安全性(Clavien-Dindo分類 GradeⅡ以上の割合,イレウス・縫合不全の割合)と有効性(初回排便日数,術後在院日数)を検討した.背景因子は年齢・性別・ASA-PS・腹腔鏡/開腹比率・結腸/直腸(Rs~Rb)比率・clinical stage・術前Alb・術前CRPを用いた.
結果:全72例において年齢 66(21-91)歳,性別 男/女= 40/32,BMI 22.5(15.5-45),ASA-PS 1/2/3= 13/53/6, 腹腔鏡/開腹: 64/8,結腸/直腸: 59/13,cStage Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ/Ⅳ: 38/20/5/9,術前Alb 4.3(2.5-5.2)g/dl,術前CRP 0.095(0.02-3.91)mg/dlであった.ERAS群は31例,従来群は41例であった.2群間の背景因子はいずれも有意な差を認めなかった.固形食開始はERAS群が2(1-9)日,従来群が4(2-7)日であり,有意(P<0.01)にERAS群が早かった.安全性はERAS群と従来群において術後Grade2以上の合併症は4例(12.9%):6例(14.6%)(P=0.89),術後イレウスは2例 (6.5%):4例(9.8%)(P=0.52),縫合不全1例(3.2%):2例(4.9%)(P=0.40)にていずれも差を認めなかった.有効性についてはERAS群と従来群において初回排便日数は3(1-10)日:4(1-6)日(p<0.01),術後在院日数は8(7-41)日:11(8-55)日(P<0.01)で共にERAS群が短かった.
【結論】当院の大腸癌手術例における術後早期経口摂取の導入は安全性,有効性において妥当と思われる.
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