演題

術前補助化学療法を施行した臨床病期II/III食道扁平上皮癌に対する予後因子の検討

[演者] 原田 宏輝:1
[著者] 山下 継史:1, 鷲尾 真理愛:1, 江間 玲:1, 三重野 浩朗:1, 森谷 宏光:1, 細田 桂:1, 渡邊 昌彦:1
1:北里大学病院 外科

目的:cStage II/III食道扁平上皮癌に対する標準治療は, CF (CDDP, 5-FU) による術前補助化学療法 (Neoadjuvant Chemotherapy; 以下, NAC) 後の外科切除であるが, cStage IIIに対するパワー不足が指摘され, DCF (Docetaxel, CDDP, 5-FU) によるNACが試みられている. 今回, NAC CF, NAC DCFを施行したcStage II/III食道扁平上皮癌における予後因子を明らかにする.
方法:2007年から2013年の7年間に北里大学外科でcStage II/III食道扁平上皮癌に対しNAC後に手術を施行した83例 (CF 35例, DCF 48例) を対象とし, 予後因子の解析を行った. 観察期間中央値は63ヶ月であった.
結果:(1) 年齢は平均で65.6歳(46-77歳). 治療前深達度 (cT)は有意な差は認めないが, NAC DCF群のほうがより進行している傾向にあった (P=0.0929). (2) 一方, 病理組織学的所見において, DCF群はCF群より治療後深達度 (ypT)が浅い傾向にあり (P=0.0697), 脈管侵襲 (yply, ypv)の程度も軽度であり (P=0.0009, 0.00495), Stage全体としてdownstageされていた. また, 化学療法の組織学的抗腫瘍効果はDCF群で有意に奏功率が高かった (P=0.0334). (3) 胸部操作については, DCF群で有意にVATS症例が多かったが (P=0.0056), 郭清範囲は両群間で差を認めなかった. (4) 単変量予後解析では, 治療前深達度 (cT1-2/cT3), 治療前リンパ節転移 (cN-/cN+), 治療後深達度 (ycT1b-2/ycT3-4a), 治療後リンパ節転移 (ycN0/ycN1-2), 胸部操作 (OPEN/VATS), 遺残腫瘍 (R0/R1-2), 病理学的深達度 (Superficial ypT/Advanced ypT), リンパ節転移 (ypN0/ypN1-3), リンパ管侵襲が予後因子であった. (5) 多変量予後解析では治療後深達度 (HR 3.29; 95%CI 1.21-11.7: P=0.0178), 腫瘍遺残 (HR 3.87; 95%CI 1.29-10.5: P=0.0178)が予後因子として選択された.
結語:NAC DCF療法の病理組織学的な抗腫瘍効果はNAC CF療法よりも高かった. NACが施行されたcStage II/III食道扁平上皮癌において, 治療後深達度と腫瘍遺残が予後因子として有用であり, 治療効果のsurrogate prognostic factorとして適していると考えられた.
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