演題

予定大腸癌手術の手術部位感染症対策による術後合併症減少効果についての検討

[演者] 板津 慶太:1
[著者] 小出 史彦:1, 杉浦 友則:1, 岡島 明子:1, 雄谷 純子:1, 山口 洋介:1, 加藤 知行:1
1:総合上飯田第一病院 外科

【目的】当院の大腸癌手術症例は,高齢者・イレウス発症例が多く,多数の併存症や術前低栄養状態の患者も含まれている.以前より手術部位感染症(SSI)の頻度が高かったため,2016年より周術期対策を強化し,その効果を検討した.【方法】2012年1月から2015年12月の症例検討(第116回,日本外科学会定期総会にて発表)を踏まえ,2016年1月より,①術前対策:低栄養患者(Alb 3.5g/dl未満)に対する積極的栄養治療,手術前日のシャワー浴.②術中対策:Wound protector(WP)使用,手袋交換,術中抗生剤追加投与,直腸癌症例に経肛門チューブ留置,閉創時の器械交換などを行った.2012年1月から2016年10月の間に行った予定大腸癌切除手術237例を2015年まで195例(A群)と2016年の42例(B群)にわけて検討.【成績】全症例の年齢中央値は72歳(30-93歳),男性141例,女性96例.結腸癌150例(63%),直腸癌87例(37%).内視鏡不通過は103例(44%),イレウス発症は49例(21%)であった.術後合併症は,Clavian-Dindo(CD)2以上105例(44%),CD3a以上46例(19%),感染性合併症83例(35%),全SSI 72例(30%),手術切開部位SSI(I-SSI)49例(19%),Stoma閉鎖創を除く創のI-SSI 46例(19%),Stoma閉鎖創3例/18例(16%),体腔臓器SSI42例(17%),縫合不全35例(15%),遠隔感染症22例(10%),イレウス29例(12%),譫妄30例(12%),再手術16例(7%),術後在院死亡4例(1.7%)であった.
術前因子,年齢・性別・部位・ASA・PS・術前アルブミン値,小野寺PNI・内視鏡不通過・イレウス発症・原発部位は群間に有意差を認めなかった.術後合併症率(A群/B群,p値)は,CD2以上(44%/47%,p=0.63),CD3a以上(18%/23%, p=0.42),感染性合併症(36%/31%, p=0.54),全SSI(32%/24%, p=0.30),I-SSI(21%/19%,p=0.77),Stoma閉鎖創を除く創のI-SSI(20%/14%, p=0.35),stoma閉鎖創(8%/20%, p=0.34),体腔臓器SSI(19%/9%, p=0.12),縫合不全(17%/7%, p=0.12),遠隔感染症(9%/9% p=0.95),イレウス(12%/11%,p=0.94),譫妄(10%/24%, p=0.017),再手術(7%/5%, p=0.57),術後在院死亡(1%/2.4%, p=0.47).有意に減少した項目は認めなかったが,Stoma創を除く創のI-SSIと縫合不全は減少傾向にあった.【結論】今行っている対策では不十分と考えられた.危険因子を再度検討し,また対策一つ一つの遵守率の検討などを行い,より術後合併症減少へのプランを立てる必要がある.
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