演題

下部消化管悪性腫瘍開腹手術におけるSSI発症因子と対策

[演者] 山口 峻:1
[著者] 蒲原 行雄:1, 黒島 直樹:1, 藤井 美緒:1, 東 尚:1
1:長崎県島原病院 外科

【背景】下部消化管手術における術後創感染(Incisional Surgical Site Infection: 以下SSI)は他臓器の手術よりも高率であると報告されている.悪性腫瘍症例では,良性疾患よりもSSIを発症しやすいという報告が散見され,術後化学療法の治療計画等にも影響する.今回,皮下脂肪厚を含むSSIリスク因子と対策について当院で検討を行った.
【方法1】2013年4月~2015年3月までの間に行った開腹での下部消化管悪性腫瘍手術例(n=91)において,SSI発症例(n=13)と非発症例(n=78)に分け,患者因子(糖尿病,喫煙の有無,HbA1c(>7),アルブミン濃度,血算,皮下脂肪厚),手術因子(手術時間,出血量),入院期間について比較した.
【結果1】SSI発症例は皮下脂肪厚10mm以下(n=17)で1例,10~20mm(n=44)で7例,20mm以上(n=30)で5例となった.手術時間(180分±75分,p<0.05),出血量( 240ml± 350ml,p<0.05)に有意差を認めた.SSI発症例で皮下脂肪15㎜以下の症例は腹腔内膿瘍やイレウスを伴っている症例が2例でSSI単独発症は1例のみだったが,皮下脂肪15㎜超の症例ではSSI単独発症が8例と比較的多くみられた.
【結語1】SSIリスク因子として出血量,手術時間が挙げられる.皮下脂肪が厚い症例ではSSI単独発症が多い傾向であった.
【方法2】改善策として,術中皮下脂肪がおよそ15㎜を超える症例に対して持続陰圧式ドレーンを術後留置することに取り組んでいる.2015年4月~2016年11月までの手術例(n=43)の内,皮下ドレーン留置を行った13例におけるSSI発症例は0例であり,全体でも2例のみと少ない傾向となっている.
【結語2】皮下ドレーン留置を行ったことでSSI発症が少なくなっている.
【結論】下部消化管悪性腫瘍領域における開腹手術におけるSSIリスク因子として,出血量,手術時間に有意差を認めた.皮下脂肪厚がリスク因子であると考え皮下ドレーン留置を行ったところ,SSI発症が少ない傾向がみられた.
詳細検索