演題

当院での大腸手術における周術期Clostridium difficile感染症の検討

[演者] 竹原 朗:1
[著者] 渡辺 和英:1, 吉村 隆宏:1, 松永 正:1, 棚田 安子:1, 野崎 善成:1, 芝原 一繁:1, 佐々木 正寿:1
1:富山赤十字病院 外科

はじめに:Clostridium difficile感染症(Clostridium difficile infection:以下 CDI)は抗生剤関連性腸炎として近年増加傾向であり, 消化器外科手術の術後感染症において新たな問題となっている. 特に大腸手術では術前腸管前処置や術後抗生剤の使用など腸内細菌叢の攪乱によりCDIの発症リスクが高いとされ周術期管理において注意が必要である.
上記を踏まえ当院では2014年1月より大腸手術・胃手術においてCDIのサーベイランスを開始し2016年5月までに大腸手術243例の臨床dataを集積した.
目的:当科で行った大腸手術症例に対してCDI発症の傾向およびリスク因子を検討する.
対象・方法:当科で2014年1月から2016年5月の間に大腸手術を行った243例(男性123 例, 女性120例, 平均年齢 72.4歳)についてCDI発症率や糖尿病などの術前併存疾患の有無・抗生剤投与の有無・術前通過障害の有無因子など臨床因子との関連性について検討した.
結果:手術部位は結腸190例で直腸53例であり, 待機手術が223例で緊急手術が20例, 鏡視下手術127例に対して開腹手術が116例であった. 術前内視鏡通過不能な症例が106/243例, 糖尿病の既往が61/243例, 術前抗菌薬使用は43/243例, 術前放射線症例が8/243例, 術前抗癌剤使用例が9/243例, 術前制酸剤内服が80/243例, 術前ステロイド内服が12/243例であった.
CDI検査率は19/243例(7.8%)であり, CD毒素陽性率は全症例対象で0.2%(2/243例), CD抗原陽性率は2.5% (6/243例)であった.
CDI毒素陽性のリスク因子として術前糖尿病の既往(p=0.006)で有意差を認め, 術前ステロイドの使用でもCDI発症が多い傾向(p=0.05)を認めた.
結語:当科での大腸手術でのCDIの検討において術前糖尿病の既往がCDI発症のリスクとなることが示唆された. CDI発症数は今後も増加することが予想され, 適切なCD保菌者の検査と発症予防策, 発症後の治療および感染予防対策が重要でありひきつづきサーベイランスを継続する必要がある.
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