演題

大腸癌術後腹腔内感染症に対するC反応性蛋白測定の有用性

[演者] 熊頭 勇太:1
[著者] 五代 天偉:1, 岡本 浩直:1, 本庄 優衣:1, 藤川 寛人:1, 熊切 寛:1, 深野 史靖:1, 鈴木 紳一郎:1, 山本 裕司:1, 益田 宗孝:2
1:藤沢湘南台病院 外科, 2:横浜市立大学医学部 外科治療学

【はじめに】
大腸癌手術は腹腔内感染症の多い消化器外科手術の一つである.手術時の汚染による腹腔内膿瘍や縫合不全などが原因として挙げられるが,しばしば患者が重篤な状態となってから診断される.そのため早期に異常を検知し,診断することがより良い治療に重要である.C反応性蛋白(CRP)は,本邦において術後の血液検査で日常的に測定されている項目の一つであるが,大腸癌術後腹腔内感染症の診断における有用性の報告は少ない.
【目的】
大腸癌術後腹腔内感染症の早期予測マーカーとしてCRPの有用性を検討する.
【対象・方法】
2014年4月から2016年12月までに行われた待機的大腸癌手術198例を対象とした.腹腔内感染症は腹腔内膿瘍と縫合不全と定義し,術後30日以内にそれらを合併した合併症群をC群,非合併症群をN群とした.WBC,CRPを術後1日目,術後4日目,術後7日目に測定し,ROC曲線を用いて感度,特異度,cut-off値などを検討した.その他に患者因子,手術因子をそれぞれ検討した.
【結果】
症例全体の平均値は年齢が69.3歳,術後在院日数は16日,手術時間は170分,出血量は128ml,BMIは23.1であった.N群は171例,C群は27例であり,腹腔内感染症の合併症率は13.6%であった.各群において,年齢,性別,BMI,糖尿病罹患率,喫煙率,手術時間,出血量,腹腔鏡下手術率,ステージに有意差は認めなかった.術後在院日数はN群14.0日,C群28.9日であり,有意にC群が延長していた.C群は術後1,4,7日目のCRP,術後4,7日目のWBCが有意に高かった.ROC曲線下面積は,術後4日目CRPが0.828,7日目CRPが0.902と高値であり,感度,特異度,陽性的中率,陰性的中率,cut-off値は,術後4日目CRPが70.4%,80.7%,36.5%,94.5%,8.18mg/dl,術後7日目CRPが88.9%,80.7%,42.3%,97.9%,4.49mg/dlであった.
【結語】
術後4日目,7日目のCRPは高い感度と特異度を有していた.術後CRPを用いて合併症の具体的な発生率を予測し,CRPが低い場合は腹腔内感染症が発生していないと考える一つの安心材料となり,高い場合は入念な診察やCTなどの追加検査を行うことが必要である.術後CRPは大腸癌術後腹腔内感染症の早期予測に有用なマーカーと考える.
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