演題

当科における左側大腸癌縫合不全のリスク因子の解析

[演者] 今西 俊介:1
[著者] 宮内 英聡:1, 大平 学:1, 成島 一夫:1, 加賀谷 暁子:1, 武藤 頼彦:1, 松原 久裕:1
1:千葉大学大学院医学研究院先端応用外科

大腸癌術後縫合不全は時に致命的となりうる重篤な合併症のひとつである. 縫合不全の重篤化を回避するため吻合のリスクが高いと考えられる場合には, covering stomaの造設が行われるが, その造設基準はいまだ明確なものはない. 縫合不全の発症予防と重篤化の回避に向け, 我々は当科における直腸癌およびS状結腸癌の縫合不全のリスク因子を解析した. 【対象】2012年1月から2016年11月における当科で切除吻合手術を施行したS状結腸癌および直腸癌269例. 【検討項目】A 術前患者因子(①年齢, ②性別, ③BMI, ④HbA1c, ⑤ALB, ⑥喫煙指数), B 腫瘍因子(①肛門縁から腫瘍までの距離, ②術前腫瘍径, ③前治療の有無, ④深達度, ⑤リンパ節転移の有無), C 術中因子(①手術時間, ②出血量, ③手術の種類, ④肛門側切離回数, ⑤吻合方法, ⑥左結腸動脈温存の有無)「方法」連続変数の項目をすべてROC解析にてcut off値を設定し2群に分類し, すべての2群間でχ2検定を行った. P<0.1の項目でロジスティック回帰分析を行った. 【結果】χ2検定の結果, A 術前患者因子では, 喫煙指数560以上で縫合不全が有意に多かった(P<0.0001). また, HbA1c 5.9以上(P=0.99), 血性ALB3.7未満(P=0.063)は有意差は認めなかったが縫合不全が多い傾向にあった. B 腫瘍因子では, 肛門縁からの距離14cm以下(P=0.017)と, 腫瘍径40mm以上(P<0.0001)で有意に縫合不全が多かった. またpT2~4で有意差は認めなかったが縫合不全が多い傾向にあった(P=0.054). C 術中因子では手術時間240分以上(P=0.0039), 出血量380ml以上(0.05)で有意に縫合不全の発症が多かった. また開腹手術(P=0.08), 肛門側切離2回以上(P=0.08)が有意差は認めなかったが縫合不全が多い傾向にあった. 上記単変量解析の結果, P<0.1の項目にて多変量解析を行った結果, 喫煙指数560以上(P=0.004, OR=3.52), 手術時間240分以上(P=0.005, OR=4.00)が縫合不全の有意なリスク因子であった. 【考察】当科における左側大腸癌の縫合不全のリスク因子は喫煙指数と手術時間であった. 喫煙指数と縫合不全の報告例は少なく, 文献的考察を含め報告する.
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