演題

腹腔鏡下大腸癌手術におけるDST吻合の術後縫合不全減少への対策

[演者] 渡部 顕:1
[著者] 清水 哲也:1, 豊田 純哉:1, 山本 悠史:1, 坂本 里紗:1, 久保 博一:1, 武田 和永:1, 松田 悟郎:1, 関戸 仁:1
1:横浜医療センター 消化器外科

背景:縫合不全は大腸癌手術の最も問題となる合併症であり,その減少のために様々な取り組みが多く報告されているが,未だ明確な方法はないと考えられる.腹腔鏡手術では開腹手術と異なり吻合部口側腸管の選択を小開腹創で行う必要があり,創外への導出腸管が十分でない場合には口側腸管血流の確認が不十分である可能性がある.またIMA切離の際には辺縁動脈のみで栄養される吻合部口側の血流障害は残す腸管が長いほど起こり得る可能性がある.よって腸管の授動と口側腸管の可能な限りの切離が必要であると考えられる.演者の在籍した過去3施設での成績と手術を指導的立場で行うようになった現施設での成績および手術での留意点を供覧し,縫合不全減少への対策を検討する.
対象と方法:演者が執刀した腹腔鏡下大腸癌手術症例のDST吻合症例のうち,2012.4-2015.12の連続51例(前期)と2015.4-2016.12の連続63例(後期)に分類し,患者背景・手術成績について比較検討した.なお合併症定義は統一し,同一のデータベースで収集した.
手術で特に留意した点:腸管受動を十分に行うこと,口側切除腸管は可能な限り長めに切離すること,辺縁動脈と直動脈の処理に十分に気を使うこと,吻合器はやや口径の短いものを使用すること,吻合器取り扱い方法の定型化
結果: 前期/ 後期で, 年齢=65歳/ 69歳, 男: 女= 30: 21/ 41: 22, BMI=21.5/ 22.5, 術式= S: HAR: LAR= 26: 10: 15/ 25: 12: 26, Stage I-III: IV= 49: 2/ 56: 7, 腫瘍最大径は35mm/ 40mm, 手術時間=186分: 198分であり,差を認めなかった.脾弯曲部授動は前期12%→後期21%,口側切離腸管長の中央値は前期102mm→後期115mmであった.術後合併症(Grade II以上)は前期で7例(14%),後期で5例(8%)に発生した.縫合不全は前期の6例(11.8%: Grade II 1例, Grade III 5例)から後期では1例(1.6% Grade II)と減少した.
結語:腸管授動を十分に行い,血流を重視して至適腸管で切離し,吻合器を適切に扱うことなど手術手技について徹底的な定型化をしたことが縫合不全の減少に重要だと考えられた
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