演題
PF7-4
当院における低位前方切除術後縫合不全対策としての経肛門ドレーンの現状について |
【目的】低位前方切除術後の縫合不全は重篤な合併症である.その予防のため,diverting ileostomy造設例以外は,全例に経肛門ドレーンを挿入している.当院における経肛門ドレーンの挿入方法および縫合不全発生率について報告する.
【方法】2013年1月~2016年12月までの間にDouble stapling technique(DST)吻合を施行した低位前方切除術症例は47例であった.内訳は,divering ileostomy造設は9例,経肛門ドレーン留置は39例であった.今回,経肛門ドレーン留置をおこなった39例について検討をおこなった.経肛門ドレーンは住友ベークライド社製クリオドレーンバックプリーツタイプソフト10㎜を使用.ドレーン先端はcutし吻合部を超える様に挿入.POD5に抜去している.なお,経肛門ドレーン挿入例に対して人工肛門造設はおこなっていない.
【成績】全体の縫合不全率は6.3%(3/48)であった.diverting ileostomy造設例は縫合不全を認めなかった(0/9).経肛門ドレーン留置の縫合不全率は7.7%(3/39)であった.経肛門ドレーン留置群について検討をおこなった.平均年齢は63.9才.男女比は男性27例,女性12例.原疾患は癌38例,悪性リンパ腫1例.腹腔鏡手術率は97.4%(38/39).主たる占拠部位はRS 6例,Ra 20例,Rb 13例であった.縫合不全症例の3例は全例ドレーン抜去後であり,全て男性のRb症例であった.3例中1例は保存的治療で軽快したが,2例は待機的に人工肛門造設が必要であった.ドレーントラブルとしては自然抜去2例で,初期の症例に多く認められた.1例は肛門痛が強く,POD2に経肛門ドレーンを抜去している.
【結論】縫合不全症例は全例,経肛門ドレーン抜去後に発生しており,縫合不全の時期を遅らせる可能性が示唆された.しかし経肛門ドレーン留置で,全ての症例の縫合不全を防ぐ事は難しく,症例によりdiverting ileostomy造設も考慮すべきであると思われる.今後,さらに症例数を蓄積し検討が必要と考える.
【方法】2013年1月~2016年12月までの間にDouble stapling technique(DST)吻合を施行した低位前方切除術症例は47例であった.内訳は,divering ileostomy造設は9例,経肛門ドレーン留置は39例であった.今回,経肛門ドレーン留置をおこなった39例について検討をおこなった.経肛門ドレーンは住友ベークライド社製クリオドレーンバックプリーツタイプソフト10㎜を使用.ドレーン先端はcutし吻合部を超える様に挿入.POD5に抜去している.なお,経肛門ドレーン挿入例に対して人工肛門造設はおこなっていない.
【成績】全体の縫合不全率は6.3%(3/48)であった.diverting ileostomy造設例は縫合不全を認めなかった(0/9).経肛門ドレーン留置の縫合不全率は7.7%(3/39)であった.経肛門ドレーン留置群について検討をおこなった.平均年齢は63.9才.男女比は男性27例,女性12例.原疾患は癌38例,悪性リンパ腫1例.腹腔鏡手術率は97.4%(38/39).主たる占拠部位はRS 6例,Ra 20例,Rb 13例であった.縫合不全症例の3例は全例ドレーン抜去後であり,全て男性のRb症例であった.3例中1例は保存的治療で軽快したが,2例は待機的に人工肛門造設が必要であった.ドレーントラブルとしては自然抜去2例で,初期の症例に多く認められた.1例は肛門痛が強く,POD2に経肛門ドレーンを抜去している.
【結論】縫合不全症例は全例,経肛門ドレーン抜去後に発生しており,縫合不全の時期を遅らせる可能性が示唆された.しかし経肛門ドレーン留置で,全ての症例の縫合不全を防ぐ事は難しく,症例によりdiverting ileostomy造設も考慮すべきであると思われる.今後,さらに症例数を蓄積し検討が必要と考える.