演題

進行直腸癌に対する腹腔鏡下低位前方切除術の検討

[演者] 金 浩敏:1,7
[著者] 安井 昌義:2,7, 池永 雅一:3,7, 西村 潤一:4,7, 畑 泰司:4,7, 松田 宙:4,7, 竹政 伊知朗:5,7, 水島 恒和:6,7, 土岐 祐一郎:4,7, 森 正樹:4,7
1:りんくう総合医療センター 外科, 2:大阪府立成人病センター 消化器外科, 3:東大阪市立総合病院 外科, 4:大阪大学大学院 医学系研究科 消化器外科学, 5:札幌医科大学医学部 消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座, 6:大阪大学大学院 炎症性腸疾患治療学, 7:大阪大学 消化器外科共同研究会 大腸疾患分科会

[背景] 直腸癌に対する腹腔鏡下手術は開腹では困難な拡大視効果による狭い骨盤内での微細な解剖の認識や手術器具の進歩により適応が拡大してきている.しかしながら,進行直腸癌に対する腹腔鏡下手術の安全性や有効性に関しては未だに議論の余地が残されている.
[目的] 進行直腸癌に対する腹腔鏡下低位前方切除術の術後合併症における危険因子を検討する.
[対象と方法] 2010年1月から2014年8月までに16施設において,cStageⅡ・Ⅲの進行上部直腸癌(AV 7-12cm)に対して腹腔鏡下低位前方切除術を予定されている症例を前向きに症例登録し,85例を対象にとして後ろ向きに術後合併症のリスク因子を検討した.
[結果] すべて中央値で,患者背景は年齢;65(37-85)歳,性別(男性:女性);46:39例,BMI;21.7(13.3-30.0),腫瘍径;3.5cm(2-5cm),T因子(T3:T4);76:9例,N因子(N0:N1:N2);65:18:2例,UICC-TNM分類(Ⅱ:Ⅲ);65:20例であった.全例で腹腔鏡下低位前方切除術が完遂され開腹移行例は認めず,手術時間;264分(130-556分),出血量;20ml(0-560ml),リンパ節郭清個数;20個(5-57個),pPM;11cm(3-35cm),pDM;3cm(1-10cm),pRMは全例陰性であった.術後合併症については25.9%(24/85例)に認め,そのなかで縫合不全が12.9% (11/85例)と最も多く,Grade 3/4 (Clavian-Dindo分類)は10.6% (9/85例)であった.単変量解析では術後合併症の危険因子は腫瘍径(p=<0.001)およびT因子(p=0.003)で,性別,年齢,併存疾患,肛門縁からの距離,手術時間,縫合器の使用回数,diverting stomaの造設の有無では相関は認めなかった.多変量解析では,腫瘍径(OR 3.90, 95% CI 1.27-12.97,p=0.017)およびT因子(OR 5.19, 95% CI 1.07-30.33,p=0.040)が独立した因子となっていた.
[結論] 多施設における検討にて,進行直腸癌に対する腹腔鏡下低位前方切除術の腫瘍学的な安全性(TME順守,DMの確保,RMの陰性,リンパ節郭清の個数)は確保されていたが,術後合併症の発症率がやや高く,腫瘍径が大きい場合やT4の症例についてはさらなる工夫を検討する必要があると考えられた.
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