演題

大腸切除術におけるDST吻合での合成吸収性素材シート付自動縫合器の安全性・有用性の検討

[演者] 裏川 直樹:1
[著者] 野木 雄也:1, 有馬 純:1, 岡本 大輝:1, 藤川 正隆:1, 権 英寿:1, 武部 敦志:1, 新関 亮:1, 田中 賢一:1
1:済生会中津病院 外科

【はじめに】
大腸切除術における縫合不全はいまだに重大な合併症であり,発生頻度を低率に抑えるために切離・吻合器機を用いることが多い.近年では,従来の線状自動縫合器にポリグリコール酸(PGA)吸収性素材シートを付けた縫合器(リンフォーストライステープル®)も登場し改良がなされており,呼吸器外科領域で有用性が報告されているが,消化管領域における吻合においてその安全性・有用性に関する検討はまだ少ない.
【対象と方法】
2015年10月から2016年10月までに,当院にてS状結腸癌および直腸癌に対してS状結腸切除術や高位・低位前方切除術を施行し,端端吻合の際にdouble stapling technique(DST)を施行した77例(腹腔鏡75例,開腹2例)を対象とし,PGA縫合器群(26例)と非使用群(51例)に分けて,術後合併症を中心に比較検討を行った.
【結果】
PGA縫合器群は平均年齢67.8±12.1歳,男女比16/10(例),S状結腸切除術/高位前方切除術/低位前方切除術は3/12/11(例),腹腔鏡/開腹は25/1(例)であった.一方,非使用群は平均年齢66.7±12.6歳,男女比30/21(例),S状結腸切除術/高位前方切除術/低位前方切除術は7/20/24(例),腹腔鏡/開腹は50/1(例)であった.予防的人工肛門造設術はPGA縫合器群5例(19%),非使用群9例(18%)であった.術後合併症に関しては,縫合不全はPGA縫合器群1例(3.8%),非使用群6例(12%)であり,有意差は認めなかった(P = 0.412).予防的人工肛門造設症例を除いた場合の縫合不全は,PGA縫合器群1例(4.7%),非使用群5例(12%)であり,有意差は認めなかった.出血や狭窄などの他の吻合部関連合併症は,両群ともに認めなかった.
【結語】
PGA縫合器使用によるDST吻合は,縫合不全の発症率を低下させる傾向は認めたものの,統計学的に有意な結果は認めなかった.しかし,その他の術後合併症の結果も含め,従来の縫合器と遜色なく安全に使用できると考えられ,今後さらに症例を蓄積し検討を行う必要があると考えられた.
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