演題

FTD耐性化におけるピリミジン合成経路に関わるThymidine kinase 1発現の意義

[演者] 枝廣 圭太郎:1,2
[著者] 北尾 洋之:2, 飯森 真人:2, 中西 良太:1, 中島 雄一郎:1, 杉山 雅彦:1, 佐伯 浩司:1, 沖 英次:1, 前原 良彦:1
1:九州大学大学院 消化器・総合外科学, 2:九州大学大学院 がん分子病態学講座

【背景】
新規ヌクレオシド型抗腫瘍薬TFTD(開発コードTAS-102トリフルリジン(FTD)とチピラシル塩酸塩の配合剤)は,チミジンアナログである薬効成分FTDが癌細胞に取り込まれることにより抗腫瘍効果を発揮すると考えられている.TFTDは,5-FU系薬剤による前治療に不応となった進行再発大腸癌への有効性が示されているが,その作用機序,耐性化のメカニズムについては未解明な点が多い.
【目的】
FTD耐性化のメカニズムを分子レベルで明らかにする.
【対象と方法】
ヒト大腸癌細胞株(DLD1)から樹立されたFTD耐性株(DLD1-FTD),ゲノム編集技術CRISPR/Cas9システムを用いて樹立したDLD1のThymidine kinase 1(TK1)ノックアウト細胞を用いて解析を行った.ピリミジン合成経路に関わる因子の遺伝子発現プロファイル,FTDに対する細胞応答,FTDの癌細胞への取り込み,FTD,5-FUに対する感受性について評価を行った.
【結果】
ピリミジン合成経路に関わる因子の遺伝子発現について検討した結果,DLD1-FTDではTK1の発現が,ほぼ完全に消失していた.DLD1のTK1ノックアウト細胞では,DLD1-FTDと同等レベルのFTD耐性を示したが,DLD1へのsiRNAによるTK1の発現抑制だけでは,DLD1-FTD程のFTD耐性化を認めなかった.さらに,DLD1-FTDに機能的なTK1を発現させた細胞株(DLD1-FTD/TK1)では,FTDに対する感受性がDLD1と同等レベルまで回復した.また,DLD1のTK1ノックアウト細胞の5-FUに対する感受性はDLD1と同等レベルであった.
【結語】
TK1の発現を完全に消失させることによりFTDへの耐性化が実現できた.また,TK1発現消失によりFTDへの耐性化を獲得した細胞でも5-FUに対する感受性は変わらなかった.
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