演題

漿膜下層浸潤大腸癌における弾性板浸潤の臨床病理学的意義の検討

[演者] 深澤 孝晴:1
[著者] 平方 智子:1, 田部 雄一:1, 佐野 彰彦:1, 斎藤 加奈:1, 谷 賢実:1, 内藤 浩:1, 桑野 博行:2
1:JCHO 群馬中央病院 外科, 2:群馬大学大学院 病態総合外科学

【背景】腸管壁の漿膜下層には漿膜を裏打ちする形で弾性板が存在する.大腸癌が弾性板に浸潤すると悪性度が高くなることが報告されているが,臨床的な意義や治療方針に与える影響については確立されていない.
【目的・方法】漿膜下層浸潤大腸癌における弾性板浸潤の臨床的意義を明らかにするため,手術で切除した大腸癌組織の免疫組織化学染色により弾性板浸潤の有無を評価し,臨床病理学的因子との関連について検討した.
【対象】2010年7月から2016年10月までに当科で大腸切除術を行い,病理学的に深達度SS/Aと診断された大腸癌症例254例のうち,弾性板浸潤の評価が可能であった239例について検討した.男性135例,女性104例,平均72.0歳(40~92歳),結腸癌172例,直腸癌68例,病期Ⅱ138例,病期Ⅲ87例,病期Ⅳ14例.病期Ⅳのうちわけは,肝転移12例,肝・肺転移1例,腹膜播種1例.
【結果】弾性板浸潤陽性が106例,陰性が133例であった(弾性板浸潤陽性率44.4%).年齢,性別,腫瘍の肉眼型,分化度と弾性板浸潤の間には相関がみられなかった.病期別にみると,病期Ⅳ症例においては弾性板浸潤陽性例が多かった(64.3%).弾性板浸潤陽性例において,腫瘍径が大きい傾向があり,病理学的リンパ節転移陽性率が高かった.根治切除された病期Ⅱ,Ⅲ症例に限定して検討すると,弾性板浸潤の有無では短期再発率に差はなくかったが,弾性板浸潤陽性の病期Ⅲ症例では,オキサリプラチンを含むレジメンによる術後補助化学療法を行った群で再発率が低い傾向がみられた.
【考察】弾性板浸潤陽性大腸癌は悪性度が高いと考えられ,術前検査で確認しえない微小転移の存在を念頭に治療方針を検討する必要がある.弾性板浸潤陽性の病期Ⅲ大腸癌症例では,弾性板浸潤陰性例と比較して,術後補助療法としてオキサリプラチンを含むレジメンによる治療が,より再発抑制に寄与する可能性がある.
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