演題

大腸癌におけるsyntenin-1の機能・発現解析

[演者] 岩本 和哉:1
[著者] 高橋 秀和:1, 原口 直紹:1, 西村 潤一:1, 畑 泰司:1, 山本 浩文:1, 松田 宙:1, 水島 恒和:1, 土岐 祐一郎:1, 森 正樹:1
1:大阪大学大学院医学系研究科 外科学講座 消化器外科学

【背景】syntenin-1は細胞膜タンパクであるsyndecanに結合してエクソソーム分泌の起点となるタンパクである.syntenin-1の高発現がメラノーマ・乳癌・神経膠腫において予後不良因子となることが報告されているが,大腸癌においてはいまだ報告はない.
【目的】大腸癌におけるsyntenin-1の機能解析を行うとともに,発現の臨床病理学的因子および予後との関連を検証すること.
【方法】(1) 大腸癌細胞株にsyntenin-1に対する複数のshRNAを感染させ,増殖・遊走アッセイを行った.(2) 2006年から2009年までに当科で根治手術を施行した連続した139例の大腸癌症例を対象とし,切除標本におけるsyntenin-1の発現を免疫染色により4群に分類した(陰性:発現率0%,弱陽性:発現率30%以下,中陽性:発現率30%以上80%以下,強陽性:発現率80%以上).中・強陽性を高発現群とし,臨床病理学的因子および予後との関連性を調べた.
【結果】(1) shRNAでsyntenin-1を抑制すると,増殖能・遊走能が有意に低下した(p<0.05).(2) 陰性は51例,弱陽性は41例,中陽性は34例,強陽性は13例であった.臨床病理学的因子での比較においては高発現群で分化度が低かった(p=0.001).5年全生存率は低発現群:高発現群=97.8%:63.8%(p=0.001),5年無再発生存率は低発現群:高発現群=92.4%:61.7%(p=0.001)で,syntenin-1高発現群で有意に再発率が高く生存率が低かった.多変量解析ではOSにおいてはCA19-9値と並んでの(p<0.0001),RFSにおいては脈管侵襲と並んでの(p<0.0001)予後予測因子であった.
【結語】大腸癌においてsyntenin-1は増殖・遊走に関与しており,新規治療ターゲットとなりうることが示された.また,syntenin-1の高発現はOS・RFSの悪化に関与し,予後予測に有用なマーカーとなりうることが示唆された.
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