演題

大腸癌におけるEctopic lymphoid-like structures (ELS)と臨床病理学的因子及び予後に関する検討

[演者] 中村 健一:1
[著者] 徳永 竜馬:1, 坂本 快郎:1, 大内 繭子:1, 清住 雄希:1, 石本 崇胤:1, 岩槻 政晃:1, 馬場 祥史:1, 吉田 直矢:1, 馬場 秀夫:1
1:熊本大学大学院 消化器外科学

【はじめに】Ectopic lymphoid-like structure (ELS)は感染,自己免疫性疾患,移植や癌などによる炎症に応じて局所的に出現する異所性リンパ様構造である.ELSは宿主免疫応答を反映し,癌において予後と相関することが報告されている.また近年,免疫チェックポイント阻害剤による免疫療法が注目されているが,ELS は免疫学的な腫瘍微小環境を構成し新たな免疫学的治療ターゲットとなることが示唆されている.今回,大腸癌におけるELSと臨床病理学的因子及び予後に関する検討を行ったので報告する.
【方法】2005年3月から2014年8月までに,当科で大腸癌に対する原発切除を施行した577例を対象とした.潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患に起因する大腸癌は除外した.ELSは切除標本のパラフィン切片にHE染色を行い評価した.ELSの局在を腫瘍先進部近傍 (peritumoral reaction),腫瘍深部の漿膜近傍 (Crohn's like reaction)に分類し,それぞれをGrade 0-3 (0; ELS absent,1; ELS weak,2; ELS moderate,3; ELS strong)の4段階で評価した.また,それぞれのELS gradeを加算しELS scoreと定義した.血液検査データは術前1週間以内の値を解析に用いた.
【結果】ELSはperitumoral reaction,Crohn's like reaction共にGradeが低いほど予後不良であった(ともにP<0.001).ELS scoreは末梢血リンパ球数と正の相関を示した(P=0.003)が,好中球数やCRPなどの炎症マーカーとの相関は認めなかった.ELS score=3をcut-off値とし,ELS score低値群,高値群に分類すると,ELS score低値群はリンパ節転移陽性例,遠隔転移陽性例が有意に多く(P=0.003, P<0.001),多変量解析において,リンパ節転移陽性,遠隔転移陽性とともに独立した予後不良因子となった(HR=2.0, 95% CI=1.39-2.93, P<0.001).
【結論】大腸癌におけるELSは末梢血リンパ球数,リンパ節転移,遠隔転移と相関し,ELS score低値は予後不良である.
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