演題

大腸がんにおける術前術後の経時的血清中microRNAの発現解析

[演者] 吉川 幸宏:1,2
[著者] 福永 光子:3, 増田 隆明:1, 黒田 陽介:1, 伊藤 修平:1, 江口 英利:1, 山田 一隆:3, 土岐 祐一郎:2, 森 正樹:2, 三森 功士:1
1:九州大学病院別府病院 外科, 2:大阪大学医学部附属病院 消化器外科, 3:高野病院 消化器外科

【背景】non-coding RNAの一つであるmicroRNA (miRNA)は,複数の標的遺伝子の発現を制限し,生体内のさまざまな分子機構を調整している.近年の研究で,miRNAががんの発生や悪性化において重要な役割を担うことが明らかとなり,血清miRNAが早期発見や再発・予後の予測バイオマーカーとなりうることが報告され,大腸がんにおいてもバイオマーカーとして報告されている血清miRNAが散見される.しかしながら,これまでの報告のほとんどは術前および術後の二点間の比較であり,術後経時的に血清miRNAの発現を評価した報告はほとんど認めない.今回我々は,これまでに再発のバイオマーカーとして報告のあった血清miRNAに注目して,その発現量の変化について経時的に調べた.
【対象と方法】Stage Ⅱ, Ⅲの大腸がん71例について術前および術後1ヶ月,3ヶ月,6ヶ月,1年,2年と経時的に採血して得た328検体の血清を対象とした.71例のうちStageⅡは31例,StageⅢは40例で,再発症例は13例であった.328検体に対してmiRNA arrayを施行し,これまでにバイオマーカーとして報告されているlet-7a, miR-15b, miR-18a, miR-19a, miR-21, miR-23a, miR-29a, miR-31, miR-92a, miR-150, miR-181b, miR-203, miR-223, miR-335, miR-1229 and miR-1246の発現量の経時的な変化について検討した.
【結果】無再発症例において,術後全ての時点での発現量にくらべて術前の発現量が有意差を持って高いmiRNAはmiR-1246のみであった.miR-1246は再発症例においては術後いったん低下し,再発前に上昇傾向を認めた.血清miR-1246の診断能は,感度52.8%,特異度84.9%であり,AUC=0.764であった.大腸がんの一般的な腫瘍マーカーであるCEAは感度22~48%,特異度63~100%と報告されており,CEAと比べても遜色のない結果であった.我々のデータではCEAは感度38%,特異度94%であり,特異度ではやや劣るものの,感度は血清miR-1246の方が高値であった.
【結論】これまで報告されている血清miRNAのうち,miR-1246は有望な再発のバイオマーカーになりうると考えられた.今後,再発のバイオマーカーとしてより感度および特異度の高い新規のmiRNAを同定していく予定である.
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