演題

Stage II結腸癌におけるdesmoplastic reaction分類の臨床的意義-SACURA trialにおける前向き付随研究

[演者] 上野 秀樹:1
[著者] 石黒 めぐみ:2, 石川 敏昭:3, 中谷 英仁:4, 室谷 健太:5, 松井 茂之:6, 手良向 聡:7, 植竹 宏之:8, 冨田 尚裕:9, 杉原 健一:10
1:防衛医科大学校外科学, 2:東京医科歯科大学大学院応用腫瘍学, 3:東京医科歯科大学消化器・一般外科, 4:先端医療振興財団臨床研究情報センター医学統計部, 5:愛知医科大学病院臨床研究支援センター, 6:名古屋大学臨床医薬学講座生物統計学分野, 7:京都府立医科大学生物統計学, 8:東京医科歯科大学総合外科学分野, 9:兵庫医科大学下部消化管外科, 10:東京医科歯科大学

【背景】Stage II結腸癌症例の術後補助療法の要否を選択する上で予後予測は重要であるが,十分な予後分別能を有する指標は未だ見出されていない.SACURA trialは,手術単独群と術後1年間のUFT補助化学療法を行う群とを比較したランダム化比較試験であるが,付随研究として,新しい組織学的予後因子の意義を前向きに検討した.本検討では組織学的desmoplastic reaction (DR)分類の無再発生存(RFS)の分別に関する意義を解析した.
【方法】SACURA trialの付随研究に登録されたStage II結腸癌961例 (2006~10年に根治手術が施行) を対象とした.DR分類の判定は中央診断とし,同一判定者が原発巣の代表1割面から作成されたHE標本のみを顕鏡して行った.既報 (Gut 53; 581-586, 2004)の判定方法に基づき,癌先進部の線維性間質をmature (細い膠原線維が多層性に配列),intermediate (ヒアリン化したkeloid-like collagenが混在),immature (myxoid間質が存在)に分類した.
【結果】(1) mature: 621例,intermediate: 281例,immature: 59例であった.DR分類の頻度はT分類,分化度,静脈侵襲,リンパ管侵襲,術前CEA値と有意な相関を示した.(2) 5年RFS率は,mature (90.0%),intermediate (75.5%),immature (65.5%)の順に低下した(P<0.0001).matureを基準としたハザード比 (95%CI)は,intermediate 2.6 (1.8-3.6; P < 0.0001),immature 4.2 (2.5-7.0; P < 0.0001)であった.年齢,性別,腫瘍部位,腫瘍径,分化度,リンパ管侵襲,静脈侵襲,リンパ節検索個数,T Stage,術後化学療法有無と共にDR分類を多変量解析にて検討すると,DR分類はT Stageと共に,独立した予後因子として選択された.(3)DR分類のRFS分別に関するHarrell's c-indexは0.64であった.この値はT stage (T3, T4a, T4b; 0.60),CEA値 (0.56),分化度 (G1, G2, G3; 0.53),MSI (0.52),静脈侵襲 (0.52),リンパ管侵襲(0.51)をはじめとする既存のいずれの臨床病理学的因子よりも良好であった.
【結語】予後転帰的に比較的monotonousな集団と考えられているStage II結腸癌において,原発巣の組織学的DR分類は良好な予後指標であり,その分別能は既存の予後因子を凌駕する可能性が示唆された.
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