演題

pT3大腸癌におけるdesmoplastic frontの質的,量的な病理学的評価に関する検討

[演者] 阿尾 理一:1
[著者] 梶原 由規:1, 神藤 英二:1, 望月 早月:1, 末山 貴浩:1, 渡邊 智記:1, 山寺 勝人:1, 米村 圭介:1, 山本 順司:2, 上野 秀樹:1
1:防衛医科大学校病院 外科1・下部消化管外科, 2:防衛医科大学校病院 外科3・肝・胆・膵外科

【背景】癌間質はその大部分を線維芽細胞とコラーゲンなどの細胞外基質が占め,癌細胞の生存や増殖を育む微小環境として近年注目されている.我々はこれまでに癌先進部の線維性間質領域(desmoplastic front: DF)の形態学的特徴,すなわち質的な因子が大腸癌の予後とよく相関することを報告してきたが,今回,この質的な因子と線維性癌間質の量的な因子との関連性について検討した.【方法】2010年1月から2011年12月までの間に原発巣切除を施行したpT3大腸癌176例(Stage II 86例,Stage III 62例,Stage IV 28例)を対象とした.線維性癌間質を既報の方法(Gut2004; 53: 581-586)に則り,HE標本における成熟度の判定に応じてmature, intermediate, immatureの3群に分類した.また,固有筋層下端から線維性癌間質の最深部までの垂直距離(MP-DF距離)を測定し,成熟度との関連を検討した.さらに各因子と予後との相関について検討した.【結果】MP-DF距離は中央値5.4mm(25th/75th percentile = 3.2mm/8.5mm)であった.対象症例の線維性癌間質の成熟度分類による内訳は,mature群 58例(33.0%),intermediate群 86例(48.9%),immature群 32例(18.2%)であった.各群におけるMP-DF距離の中央値はmature群 3.3mm (25th/75th percentile = 1.9mm/5.9mm),intermediate群 6.0mm (4.1mm/9.8mm),immature群 6.5mm (4.6mm/9.1mm) と,mature群に比較してintermediate群およびimmature群では有意にMP-DF距離が長かった(それぞれ,p<0.0001およびp = 0.0002).癌間質成熟度別の5年無再発生存率(RFS)はStage II症例でmature(43例)/intermediate(32例)/immature(11例)= 95.2%/79.8%/63.6%,Stage III症例ではmature(14例)/intermediate(35例)/immature(13例)= 92.9%/71.7%/43.3%であり,いずれのStageでも癌間質成熟度別に良好に予後が分別された(それぞれp = 0.019,p = 0.016).MP-DF距離に関して,再発の有無に関するROC曲線に基づき,感度-(1-特異度)が最大となる垂直距離4mmをcut off値として5年RFSを検討した.4mm未満群と4mm以上群の5年RFSは,Stage IIで各々93.1%,80.7%,Stage IIIでは各々75.1%,67.3%であり,いずれも4mm未満群で良好な傾向を認めたが,両群間に有意差を認めなかった.【結語】DFの間質量は組織学的成熟度分類と関連を有するが予後とは相関しなかった.癌間質の評価は質的な因子である組織学的成熟度分類が重要であると考えられた.
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