演題

大腸癌局所免疫に関する原発巣と転移巣の比較

[演者] 澁谷 雅常:1
[著者] 前田 清:1, 永原 央:1, 福岡 達成:1, 豊川 貴弘:1, 天野 良亮:1, 田中 浩明:1, 六車 一哉:1, 平川 弘聖:1, 大平 雅一:1
1:大阪市立大学大学院 腫瘍外科学

【背景と目的】
癌微小環境における免疫担当細胞の存在は癌の進展に深く関与しており,なかでも腫瘍浸潤リンパ球(Tumor-infiltrating lymphocytes: TILs)は有用な治療効果予測マーカーであることが様々な癌種において以前より多数報告されてきた.これまで我々はstageIV大腸癌において原発巣のTILsの評価が遠隔転移巣に対する化学療法の効果予測に有用であることを報告してきたが,原発巣と転移巣における局所免疫状態の関係については不明であった.そこで今回我々は肝同時切除を施行した大腸癌における原発巣と転移巣の局所免疫状態をそれぞれ評価し,両者を比較した.
【対象と方法】
2001年から2014年までに当科で肝同時切除を施行した大腸癌20例を対象とした(術前化学療法を施行した症例は含まれておらず).HE標本によるリンパ球浸潤程度の評価ではInternational TILs Working Groupが提唱した手法に従い,腫瘍先進部における間質内に占める炎症性単核球の面積の割合を用い,高浸潤群と低浸潤群に分類した.また,抗CD8抗体を用いた腫瘍浸潤細胞障害性Tリンパ球の評価では腫瘍先進部における400倍1視野あたりのCD8+細胞数をカウントし,5視野の平均値を算出した.なお,肝転移が複数個存在する症例では,最大径のものを評価対象とした.
【結果】
HE標本における評価では,原発巣において高浸潤と評価された9例中7例(77.8%)が転移巣でも高浸潤であり,また原発巣において低浸潤と評価された11例中10例(90.9%)が転移巣でも低浸潤であり,リンパ球の浸潤程度は原発巣と転移巣で相関を認めた(p=0.005).さらに,免疫染色標本による評価では,腫瘍浸潤細胞障害性Tリンパ球の個数は原発巣と転移巣で比較的強い相関を認めた(r=0.578, p=0.010).
【結語】
大腸癌において原発巣と転移巣のリンパ球浸潤の程度は比較的強い相関関係を示しており,原発巣と転移巣の局所免疫状態は類似していると考えられた.このことから,大腸癌原発巣の局所免疫状態を評価することで転移巣における局所免疫状態を推測することが可能であると考えられた.
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