演題

MSI(マイクロサテライト不安定性)陽性大腸癌におけるPD-L1発現と局在の検討

[演者] 是久 翔太郎:1
[著者] 沖 英次:1, 飯森 真人:1, 中西 良太:1, 中司 悠:1,2, 佐伯 浩司:1, 小田 義直:2, 前原 喜彦:1
1:九州大学大学院 消化器・総合外科学, 2:九州大学大学院 形態機能病理学

【背景】
大腸癌では,DNAミスマッチ修復遺伝子の機能異常がある場合に抗PD-1抗体が有効であることが報告されているが,その作用機序の詳細は不明である.
【目的】
DNAミスマッチ修復異常を呈するMSI-H(高頻度マイクロサテライト不安定性)大腸癌症例におけるPD-L1,CD8陽性細胞,CD68陽性細胞(マクロファージ),CD163陽性細胞(M2マクロファージ)の発現を評価し,それぞれの局在を明らかにする.
【対象】
1994年から2015年までにMSI検索を行った大腸癌499例のうち,48例のMSI-H症例の中から,組織学検討が可能であった36症例,及びプロペンシティスコアマッチングを行ったMSS/MSI-L 37症例.
【方法】
抗PD-L1(CloneSP142),抗CD8,抗CD68抗体による免疫組織化学染色法を用いて腫瘍浸潤部と正常組織の境界部(Invasive front)と腫瘍内部及び間質(Tumor)でPD-L1,CD8,CD68陽性細胞を評価した.PD-L1は腫瘍細胞と免疫系細胞に分けて評価した.腫瘍細胞に1%以上の発現を認める場合をPD-L1(T)+,免疫系細胞に1%以上のPD-L1の発現を認める場合をPD-L1(I)+と評価し,臨床病理学的因子との相関を検討した.CD8・CD68陽性細胞は3視野を選択し各視野での陽性細胞数の平均値を算出した.腫瘍細胞,CD68陽性細胞,CD163陽性細胞におけるPD-L1の発現を蛍光免疫染色法で評価した.

【結果】
MSI-H症例でPD-L1(T)+を36%(13/36),PD-L1(I)+を72%(26/36),MSS症例でPD-L1(T)+を5%(2/37),PD-L1(I)+を27%(10/37)に認めた.MSI-H症例でPD-L1(T)+はPD-L1(T)-と比較し低分化型腺癌,脈管侵襲,リンパ管侵襲が多かった.(P=0.049,P=0.049,P=0.03)PD-L1(I)+はPD-L1(I)-と比較しStageI/IIがStageIII/IVより多かった(P=0.03).MSI-H症例では,Tumorに比較してInvasive frontの免疫系細胞に多くPD-L1が発現していた.(平均値4.1%vs10.6%,P<0.005) CD8・CD68陽性細胞もInvasive frontに多数浸潤していた(平均値64.0vs115.4,P<0.001,平均値34.8vs70.8,P<0.001).蛍光免疫染色にて,MSI-H症例のInvasive frontにPD-L1発現を認め,その多くがCD68陽性細胞であった.CD163陽性細胞は,CD68陽性細胞と同様の局在を示しておりPD-L1を発現していた.
【結論】
MSI-H大腸癌の浸潤にM2マクロファージと免疫チェックポイント分子が関与していることが示唆された.
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