演題

Biomarkerからみた大腸癌遠隔転移の臓器向性

[演者] 天木 美里:1
[著者] 山口 達郎:1, 夏目 壮一郎:1, 河村 英恭:1, 中山 祐次郎:1, 中野 大輔:1, 松本 寛:1, 高橋 慶一:1
1:がん・感染症センター都立駒込病院 外科

【はじめに】大腸癌の遠隔転移には肝臓・肺・リンパ節・腹膜播種などが挙げられるが,症例により転移臓器が異なることはしばしば経験される.大腸癌の発癌経路に関してはこれまで多数の研究がなされてきたが,それぞれの経路による遠隔転移の臓器向性についての研究はなされていない.【目的】Molecular biomarkerおよび臨床病理学的特徴から遠隔転移先の違いについて検討する.【方法】2007年1月から2015年11月までに当院において大腸癌に対し原発巣切除術を施行した1310例のうち進行・再発大腸癌患者489例を対象とした.遠隔転移を伴う大腸癌以外の重複癌をもつ患者はのぞき,FAPおよびLynch症候群患者も対象とした.KRASBRAF遺伝子変異およびマイクロサテライト不安定性(Microsatellite instability; MSI)の有無を確認し検討した.【結果】489例中,原発巣切除時Stage IV症例は269例,Stage 0~IIIのうち再発症例は220例であった.全体の年齢平均値は65.3歳,性差は男性293例(59.9%),女性196例(40.1%)であった.KRAS遺伝子変異は153例(31.3%), BRAF遺伝子変異は26例(5.3%),MSI-Highは14例(2.9%)で認めた.遠隔転移先は肝239例,肺143例,リンパ節117例,腹膜播種89例,骨12例であった(重複あり).肝転移は結腸癌114例(56.2%)直腸癌95例(40.8%)と結腸癌に多く(p=0.001),腹膜播種も結腸癌70例(27.3%), 直腸癌19例(8.2%)と結腸癌に多かった(p<0.001).BRAF変異, KRAS変異, MSI-high症例において臨床病理学的特徴も含め転移臓器につき多変量解析を行うと,BRAF変異症例ではOdds比0.22(p<0.001)で腹膜播種が多く,KRAS変異症例ではOdds比4.67(p<0.001)でリンパ節転移が少なく, MSI-high症例ではOdds比4.7(p=0.046)で肝転移,Odds比10.1(p=0.049)で腹膜播種が少ない傾向にあった.【結語】Molecular biomarkerにより遠隔転移の臓器向性が異なる可能性が示唆された.
詳細検索