演題

ヒト大腸癌の腫瘍先進部における間質の線維化と生存率の検討

[演者] 生田 大二:1
[著者] 三宅 亨:1, 徳田 彩:1, 植木 智之:1, 飯田 洋也:1, 山口 剛:1, 園田 寛道:1, 清水 智治:1, 仲 成幸:1, 谷 眞至:1
1:滋賀医科大学医学部 外科学講座消化器外科乳腺・一般外科

【背景】癌間質組織に特異的に存在する線維芽細胞を癌関連線維芽細胞(cancer-associated fibroblasts:CAF)と呼び,標的臓器の微小環境を改築・再構成し,癌の浸潤・転移を促進することが知られているが,癌と線維化の関連性については明らかではない.CAFの多くは筋線維芽細胞のマーカーであるα-smooth muscle actin(SMA)を発現している.今回我々は,ヒト大腸癌における原発腫瘍の先進部と中央部の間質の線維化について検討した.
【方法】当院で2011年1月から2012年12月に施行した病理学的リンパ節転移を伴う大腸癌切除術で,原発腫瘍を完全切除可能であった57症例を後方視的に検討した.腺癌以外の組織型,同時多発癌の症例は除外した.線維化の評価は,腫瘍最大割面においてα-SMAによる免疫組織化学染色を施行し,腫瘍中央部と先進部を5か所ずつランダムに採取し,画像解析装置を用いて間質の線維化面積を定量化した.染色率と臨床病理学的因子および再発,生存率について検討した.
【結果】腫瘍中央部におけるα-SMA高発現群は低発現群と比較して,臨床病理学的因子で有意差を認める項目はなく,全生存率(P=0.255)と無再発生存率(P=0.821)ともに有意差を認めなかった.腫瘍先進部における臨床病理学的因子の検討ではα-SMA高発現群が低発現群と比較して,病理学的リンパ節転移が高度であり(N1/2(UICC第7版),P=0.092),再発が多い傾向があったが(P=0.058),有意差のある項目は認めなかった.腫瘍先進部における生存率の検討では,α-SMA高発現群は低発現群と比較して,全生存率で有意差を認めなかったが(P=0.101),無再発生存率が低下した(P=0.047).再発に関する単変量解析では,病理学的リンパ節転移(N1/2,P=0.042),肝転移(H-/+,P=0.028),臨床病期(StageⅢ/Ⅳ,P=0.009),腫瘍先進部のα-SMA発現率(P=0.037)が予後予測因子として挙げられた.多変量解析では有意差を認める因子は認めなかった.
【結語】腫瘍中央部における間質の線維化は再発および生存率への影響を認めなかったが,腫瘍先進部の間質の高度な線維化が術後再発に関与する可能性が示唆された.
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