演題

大腸癌患者における血液循環癌細胞の単細胞遺伝子変異解析の検討

[演者] 三宅 祐一朗:1
[著者] 山本 浩文:1, 高橋 秀和:1, 原口 直紹:1, 西村 潤一:1, 畑 泰司:1, 松田 宙:1, 水島 恒和:1, 土岐 祐一郎:1, 森 正樹:1
1:大阪大学医学部附属病院 消化器外科

【はじめに】血液循環癌細胞(Circulating tumor cell; CTC)は腫瘍から血中へ流れ込み全身を循環している癌細胞であり,その個数が大腸癌の治療効果や予後予測に有用であるとされている.CTCは末梢血中にわずかにしか存在せず,一般的に蛍光免疫染色や形態に基づき検出されるが,検出細胞が真に癌細胞であることを示すには癌特異的遺伝子変異解析が必要と考えられる.近年,上皮間葉転換(epithelial-mesenchymal transition; EMT)を起こしたCTCは上皮系マーカーを用いた蛍光免疫染色法では検出不能とされている.
【目的】大腸癌患者のCTCを検出し,その単細胞遺伝子変異解析により癌細胞であることを示す.また,EMTを起こし上皮系マーカーでは認識不能のCTCの検出が可能か否かを検討する.
【対象・方法】2015年2月から2016年7月に当院に入院した大腸癌stageⅣならびに再発症例を中心に患者を選択し,末梢血3mlを採取した.濃度勾配遠心分離法を用いて単核球を濃縮した後,CTC分離器によってCTC様細胞を検出した.本システムは単核球に誘電泳動力を加え,整列した微細孔に単細胞を補足しサイトケラチン(CK)抗体,CD45抗体を用いた蛍光免疫染色を施し,その染色結果と細胞形態からCTC様細胞を検出できる.CTCの特徴とされているCK陽性/CD45陰性細胞(CK陽性細胞)とともに,本研究ではCK陰性/CD45陰性であるが形態から癌細胞と判断される細胞(CK陰性CTC様細胞)も同時に検出し,マイクロマニュピレータを用いて単細胞で採取した.それらを全ゲノム増幅した後にKRAS,BRAF,PIK3CA領域をポリメラーゼ連鎖反応により遺伝子増幅しサンガーシーケンスにて変異検索を行った.
【結果】StageⅡ:1例,StageⅢ:2例,StageⅣ:12例,再発症例:9例の合計24症例が対象となった.遠隔転移は肝転移:17例,肺転移:5例,骨転移:2例であり,肝肺同時転移症例は2例であった.CK陽性細胞を7症例に認め14細胞を採取した.また,CK陰性CTC様細胞を9症例に認め21細胞を採取した.CK陽性細胞14細胞中,3細胞でPIK3CA変異(H1047R)を認め,CK陰性細胞21細胞中,2細胞でPIK3CA変異(H1047R)とKRAS変異(G13S)を認めた.BRAF変異を認めた細胞はなかった.
【結語】EMTを起こしたと考えられるCK陰性の細胞を含め,CTCとして検出した細胞を遺伝子レベルで癌細胞と証明できた.しかし,3遺伝子のみでは不十分であり,その他APCやp53といった遺伝子変異検索を行う必要があると考えられた.
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