演題

大腸癌先進部におけるbudding関連遺伝子の発現とその臨床的意義

[演者] 山寺 勝人:1
[著者] 神藤 英二:1, 吉田 雄一郎:2, 梶原 由規:1, 望月 早月:1, 辻本 広紀:1, 青笹 季史:1, 長谷 和生:1, 山本 順司:1, 上野 秀樹:1
1:防衛医科大学校医学部 外科学, 2:シスメックス株式会社

【背景・目的】大腸癌先進部における低分化傾向の指標であるbuddingは,組織学的悪性度の指標として広く認識されるようになった.また,我々はDNAマイクロアレイを使用した網羅的解析から,buddingの程度と相関の強い7つの遺伝子を抽出し報告を行った.今回,これらの遺伝子発現とbuddingとの相関を検証するとともに,予後予測因子としての有用性を明らかにすることを目的として検討を行った.
【方法】当科で根治手術(R0)が施行された進行大腸癌89例(2002-03年)の凍結検体(腫瘍先進部)を用いてRNAを抽出し,RT-PCRにより解析を行った.過去の検討結果に基づき,MSLN, SLC4A11, RUNX2, MGAT3, FOXC1, WNT11, SCELの7つの遺伝子の発現を測定した.これらを用いて判別分析によりスコアを算出し,buddingの程度[grade (G) 1~3]と予後との関連を評価した.
【結果】1)buddingとの相関:各遺伝子発現をbudding程度別に比較したところ,MSLN(p=0.006), SLC4A11(p=0.008), WNT11(p=0.074), SCEL(p=0.002)の各遺伝子はbudding-G3症例で高発現することが判明した.一方,RUNX2, MGAT3, FOXC1とは相関を認めなかった.buddingの程度と相関した4遺伝子間の発現程度には強い相関を認めなかった(r=0.32-0.53).これらの4遺伝子を用いてスコアを算出し,ROC解析によりカットオフ値(AUC=0.74)を定めて高発現群と低発現群に分類すると, 高発現群(41例)は低発現群(48例)に比較しbudding-G3が高率であった(71% vs 23%, p<0.001).
2)予後との相関: buddingのG3症例(40例)はG1/2症例(49例)と比較して不良であり,各々の5年無再発生存率は67%,84%であった(p=0.043).同様に,budding関連遺伝子高発現群(41例)は低発現群(48例)に比較して予後不良であった(68% vs 85%, p=0.048).
【結語】進行大腸癌における4種のbudding関連遺伝子を用いたスコアリングは,buddingと強い相関が認められた.また,buddingの判定と同様の臨床的意義が示唆された.
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